fbpx

トヨタ頼みの日本経済に警鐘。加速する業界再編で下請け企業ほかあらゆる産業が沈む?=斎藤満

値上げの歴史から「値下げ」の電気型へ

もう1つの要因が、ガソリン車から電気自動車にシフトする動きが広がり、各社とも自動運転技術の開発に余念がありません。

ガソリン・エンジン車と電気自動車とでは構造、部品数、コストが大きく異なり、さらに自動車業界とともにある部品業界の「縦割り型」の関係も大きく変わることになります。現在、デンソーアイシンはトヨタの系列ですが、電気自動車になるとこうした系列が崩れます。

もともとトヨタのエンジンと、「中島飛行機」由来のスバルのエンジンや、マツダのかつてのロータリーエンジンは、まったく技術の基盤が異なるもので、これらの企業が一緒になることは考えられないものでした。

ところが、電気自動車主体となれば、モーターもバッテリーも共有できるようになり、規模の経済が働いてコストダウンが可能となります。

しかも、自動運転技術が進み、車はただの移動手段で、運転することよりも車内でネットを楽しんだり、飲食をするスペースに変わる可能性があり、「移動するだけの箱」は安いに越したことはなく、コストダウンによる低価格化は重要な要素になります。

自動車は「輸送機械」から「電気機械」に変貌し、これまでの「値上げの歴史」業界から「値下げの歴史」業界に変わることになります。

下請け企業は生き残れない?

当然、下請け企業も変わります。

モーターやバッテリーの主な供給者は中国にとってかわられる可能性があり、現在の自動車部品メーカー、下請け企業は、系列を離れて全方位の取引に変える必要が出てきます。

それも中国や東南アジア企業とのし烈な競争にさらされ、廃業に追い込まれるところも多数出てくると見られます。

電気自動車になると、長年自動車業界をリードしてきた企業(GMやトヨタなど)でなくとも、電気通信企業でも作れます

中国でも後発のメーカーが電気自動車やバッテリーの生産分野で急速に台頭しています。日本の地方都市ではすでに中国の電気自動車バスが走っています。

ガソリン自動車の技術の蓄積はなくとも、車が作れる時代になりました。

Next: 自動車依存型の日本経済に警鐘。このままでは一緒に沈んでいく

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー