変化する自動車業界の収益構造
自動車業界の収益構造は大きく変わります。
運転を楽しみたいというユーザー向けの自動車は残るでしょうが、利益に貢献するほどの市場シェアはなくなります。
主流は単純な動力構造のEVになり、そのマージンは限られます。数をこなすための「市場シェア」が重要になります。
現在の急ピッチでの業界再編は、この流れを先取りしたものと考えられます。
自動車依存型の日本経済に警鐘
現在、日本経済において自動車が占める地位は極めて大きくなっています。
製造業のなかで2割を占めると言いますが、鉄鋼も電気も化学も、自動車に関わる部分が大きく、さらに下請け企業まで広げると、「自動車がこければ皆こける」ことにもなりかねません。
そして、それぞれの自動車企業が、企業城下町を形成しています。
しかし、これが電気自動車化し、自動運転車が主流になってくると、産業ピラミッドは大きく崩れ、横に水平展開する生産構造になります。
愛知県、広島県などの「自動車の町」は大きく変貌します。
モーターとバッテリーと通信技術があれば、誰がどこでも車を作れるようになります。日立が自動車メーカーになるかもしれません。
自動車業界の競争は激化
その分、自動車業界の競争は内外ともに激しくなり、競争の中でマージンは縮小し、利益率は低下しやすくなります。
昨年の自動車生産のシェアをみると、VWがトップで、僅差で日産・ルノー、トヨタが続き、いずれも1,000万台強の生産をしています。その後にGM、現代自動車、フォード、ホンダが続きますが、この構図が大きく変わる可能性があります。
中国やインドなど、コストの安いところが優位に立ち、経営統合など業界再編で寡占化が進み、規模の利益でコストダウンできるところがシェアを拡大する可能性もあります。
あとは居住性、移動体としての機能、安全性で客を引き寄せる企業が生き残ります。もはや年収を超える高価な車は例外的で特別な車となり、主体は大量生産に耐える低価格モデルになります。