クルーズ船では検疫官自ら感染という驚愕の事態に
国内で注目されるのは、横浜港に入港しようとして足止めをくらい、ほとんど船ごと隔離された状態のダイヤモンドプリンセス号。
国内でこの肺炎の感染が爆発的に増大した場合には、とんでもないことが起きるであろうことで、まず大量かつ短時間で「PCR検査」とよばれる微量の検体を高感度で検出する検査手法がまったく準備できていないこと、また民間へ委託して大量の検査ができる体制がまったくできていないことが露見したのは、かなりショックな状況です。
また、一応プロと思しき検疫官が、普通の服装にマスクと手の消毒だけで船内の乗客と濃厚接触してみたところ、まんまと自身が感染してしまったという件も、民間人がウイルス対策で行っているレベルの防御方法ではまったく効き目がないことも露見させてしまっています。
たった3,500名程度の乗組員の発症対策すらまともにできない状況で、国内で大規模な当該肺炎の感染が起こった場合には、政府はどう対応するのでしょうか?
実はそうした事態が発生するであろうことを、ほとんど事前想定てきていないのではないか。そういった疑義が強く頭をよぎる次第です。
東京都で武漢並みの発症者が出た場合、一気に53万人が感染の可能性
我々は専門の医師ではありませんから、迂闊な数字を事例に出してウイルスの拡散リスクを敬虔(けいけん)に煽ることはできるだけ差し控えたいところです。
しかし、実際に相当な危機が差し迫っているわけですから、一応は想定しておく必要があるのもまた事実。すでに足元の状況は、現実を直視せざるを得ない時間帯に突入しているとも言えるのです。
今回、なぜ武漢でここまで急激な感染拡大が起きたのかはまったくわかりませんし、感染してから潜伏期間がどのぐらいあるのかもはっきりしません。
中国政府が口にしているように「24日」ということが事実であるとすれば、1月27日前に武漢から訪日して観光を行った大量の旅行客が国内で相当なウイルスのまき散らしをすでに完了しており、ここから24日後に発症者が続出することも十分に考えられる状況です。
ただ上述の「PCR検査」は民間に普及していませんから、インフルエンザの判定のように街医者に行ってすぐにわかるという状況ではまったくありません。
それだけで感染が拡大する危険性も高く、現状で国内感染が進行した場合、中国にも負けないぐらいきびしい状況に追い込まれるリスクが高まります。
武漢は人口1,100万人でちょうど東京都より若干人口が少ない規模の大都市ですが、面積は東京都のざっと4倍あり、人口密度の濃さは東京とは比較にならないほどゆったりとした街です。
それにもかかわらずこれだけの発症者が出ていることを考えますと、1,300万人強の人口を誇る東京で発症が拡大した場合、オフィシャルに言われている発症率4%であっても、53万人が罹患者になる危険性があります。
これが現実のものになれば、まさにパニック状態となるのは容易に想像できるものがあります。