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退職金で住宅ローン完済はもう古い? 長寿化がもたらした繰り上げ返済のデメリット=川畑明美

夢のマイホームを手に入れ、住宅ローンの返済がスタート。退職金はすべて住宅ローンに……と考えている人も多いのでは?でもその考え、もしかしたら間違っているかもしれません。今回は、長寿化が進む現代だからこそ見えてきた繰り上げ返済の落とし穴について考えてみます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

退職金で住宅ローンを返済するのは正解?

「退職金で住宅ローンを繰り上げ返済したほうがいいのか?」

これは、ファイナンシャルプランナーとして働く私がよく聞かれる質問です。

私が以前参加したFP協会の研修では、退職金で残りの住宅ローンの繰り上げ返済を「おすすめする」パターンが一般的でした。

でも今の時代、一概に退職金で住宅ローンを繰り上げ返済したほうが良いとは言えません。

「長寿化」で正解が変わってきた

もちろん退職金で繰り上げ返済をしたら支払利息も減りますし、家計の負担も軽くなります。退職して年金生活になった時、住宅ローンが残っていると生活は苦しくなるでしょう。

ですが、今は以前よりも長寿化が進んでいます。

手元に現金がないのは、とても不安です。

急な病気で入院する時に困ったり、介護が必要になった際に家をリフォームしたくてもできなくなる可能性もあります。

「退職金で住宅ローン完済」が正解だったのは、少し前の世代までなのかもしれません。

もちろん、預貯金が十分にあり、年金も上乗せ制度などで潤沢にある場合は退職金で住宅ローンを完済しても大丈夫です。

最大のデメリットは金利の対策にならないこと

退職金で繰り上げ返済することのデメリットは、まだあります。

最大のデメリットは、金利の対策にあまりならないということです。

退職金で返済するということは、ローンの支払い期間が既にほとんど終了していることになります。一括返済や繰り上げ返済は、残りの期間が短ければ短いほど利息軽減のメリットが少なくなるのです。

繰り上げ返済は、住宅ローンを借りた5~10年間が最も効果的です。

また、年金生活になり住宅ローンの負担が大きい場合は、すべてを繰り上げ返済するのではなく、返済軽減型の繰り上げ返済を選択して、家計に負担にならない程度の金額にするのもひとつです。

それぞれのご家庭の資産状況によりますが、以前のように退職金で住宅ローン完済が正しいとは言えない状況です。

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image by:Syda Productions / Shutterstock.com

教育貧困にならないために』(2020年5月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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