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中国で「無人タクシー」が日常風景へ。なぜ日本の自動運転技術は勝てない?=牧野武文

北京が「世界で最初に自動運転車が走る都市」へ

面白いのは、その実現方法です。交通委員会はテスト走行可能な道路を指定しました。そのほとんどは、環状バイパスと車幅の広い幹線道路です。バイパスの出入ランプなどは適用外となるので、その場所を通過するには、自動運転をオフにして手動運転しなければなりません。

そして、自動運転車を免許試験場に持ち込んで、通常の運転免許試験とほぼ同じ内容の試験を行い、合格した車両に自動運転車ナンバーを交付しました。また、このナンバーは有効期限が30日間で、更新をするには北京市が指定する専門委員会の認証を受ける必要があります。

また、自動運転をする場合でも、免許を取得してから3年以上、過去に薬物や飲酒運転の処罰歴がない試験運転者が運転席に乗車することを義務付けました。万が一事故が起きた場合でも、それが自動運転中のものであっても、この試験運転者の責任になると定められました。試験運転者は、自動運転中に危険を感じた場合は、すみやかに手動運転に切り替えて、危険を回避しなければなりません。

さらに、走行試験を行う企業は、補償額が500万元以上の自動車保険に加入することも義務付けました。

つまり、百度の事件から、わずか半年で、試験走行する環境を整え、「世界で最初に自動運転車が走る都市」を目指すことを打ち出したのです。

「北京市自動運転車両道路試験報告2019年」(北京智能車聯産業創新センター)によると、自動運転のテスト走行が可能な一般道は、151路線、503.68kmになっています。2019年までで、77台の車両が合計104.02万kmの走行試験を行いました。この中で最も多いのは百度で、52台の車両が89.39万kmの走行試験を行なっています。

現在のところ、事故の報告はありません。公道走行試験では、少しでも異常があったり、渋滞などで道路状況が通常とは異なる場合、早めに試験を中止して手動運転に切り替えるからです。

一方で、北京市には自動運転車の閉鎖された走行コースも用意されていて、こちらでは一般車に迷惑をかける心配がないため、ぎりぎりの試験走行が行われるため、事故が起きています。

2019年に、閉鎖試験場コースでの走行は13.36万kmに達しました。16件の事故が起きたので、平均して8350km走行するのに1件の事故が起きたことになります。その内訳は、縁石、分離帯への接触が8件、信号、標識などへの接触が5件、ダミー人形への接触が2件、ダミー車両への接触が1件となっています。運転席や助手席に乗車している試験員にケガが起きるような事故は起きていません。

このような成果が、ロボタクシーの試験営業に結びついています。

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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2020年8月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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