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韓国「出生率0.88」で消滅の危機。文政権は南北統一での解決を画策か=勝又壽良

「全体主義」で危機に対応

盧在鳳(ノ・ジェボン)元首相(84)は、盧泰愚(ノ・テウ)政権で大統領秘書室長、首相を務め、指折りの国際政治学者(元ソウル大教授)として知られている。

その盧氏が、「4・15選挙(韓国総選挙)不正疑惑を解明すべきだ」とする『朝鮮日報』全面広告で文政権を告発した。その意図などについて『朝鮮日報』(8月29日付「文は自分を大統領ではなく、民族統一国家を建国する『南側リーダー』自負」)でインタビューに答えている。
※参考:「文は自分を大統領ではなく、民族統一国家を建国する『南側リーダー』自負」(上)(朝鮮日報日本語版) – Yahoo!ニュース

その要点を、以下に箇条書きにした。

1)今は体制の危機だ。現政権では通念によって起きてはならないことが毎日起きている。分裂と混乱を引き起こしているのが文在寅政権の政治技術だ。これは敵を設定したり、つくり出したりして、憎悪と復讐心を誘発する。

2)一部から現政権がコロナ対策を政治的に利用しているという言葉が聞かれる。文在寅政権で重要視すべきなのは「体制」の問題だ。歴代政権ではあらゆる権力行為が自由民主主義体制を前提としてなされた。しかし、現在は体制転覆的状況が進んでいる。その出発点が、朴槿恵(パク・クンヘ)弾劾だった。

3)朴槿恵弾劾というよりも、その本質は「体制弾劾」の性格でとらえるべきだ。ロウソク集会を使って体制を覆す弾劾を進めた。当時の国会での弾劾訴追案や憲法裁判所の弾劾決定文を見ると、ほとんど法律文書ではなかった。合法性には、「法の統治」と「法による統治」がある。前者は立憲主義だ。憲法に基づき権力行使の恣意的な乱用を防ぐもの。後者の「法による統治」は、ある状況で多数党がつくった法律で恣意的な権力行使を可能にするものだ。

4)過去には自由民主主義という前提で保守と進歩が分かれた。現政権ではこれまで合意されたそういう前提が崩れた。今の韓国社会は「保守対進歩」ではなく、「自由民主主義対全体主義」の対立構図と見るべきだ。文在寅政権は自由民主主義体制を変えようとしている。彼は、自分を「大韓民国大統領」とは考えていないようだ。選挙で当選した大統領に過ぎないではないか。

以上の4点について、私のコメントを付したい。

1)文大統領の最近の発言は、権力を背景にして敵愾心を燃やして対抗する種類のものが圧倒的である。文氏が愛用した「自由・平等・公平」という言葉は消えている。与党が、6割の議席を占めていることで、国会で追及される懸念がなくなったからであろう。

2)文政権は、与党6割の議席を背景に現行「体制」をひっくり返す意図を秘めている。国会運営も慣例を破り、全委員長ポストを独占している。法案審議は、野党への説明を省き、議席多数で議決する始末だ。今や、与党には不可能なことはなくなった。現行の「民主主義」を否定して、「独裁」へ移行可能になっている。

3)「法の統治」を装いながら、恣意的な「法による統治」を行っている。前者は立憲主義に基づく。それは、憲法に基づき権力行使の恣意的な乱用を防ぐものだ。後者は、民主的な様相を呈しながら、国会の絶対多数を武器にして勝手に法をつくり統治している。文大統領は、法律家で法律の裏表を知り抜き、これを「悪用」(法による統治)している。

4)現在の韓国社会は「保守対進歩」ではなく、「自由民主主義対全体主義」の対立構図と見るべきである。真の民主主義であれば、妥協が成立する。現在の韓国社会は「保守対進歩」でなく、「自由民主主義対全体主義」の対立構図と見るべきだ。文政権は、全体主義を民主主義と錯誤している。一切の妥協を排しているのである。

妥協を拒むのは、韓国の北朝鮮化を狙っている結果である。韓国の将来を「北朝鮮化」して、南北統一を容易に実現させる意図にほかならない。韓国の人口が「つるべ落とし」的な減少に向かっている現在、北朝鮮と統一することによって、この弱点を補強する必要があるのだろう。

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