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シャオミの「雷軍流」が中国を鍛え上げた。なぜ日本の家電は敗れた?=牧野武文

「消費者の80%を80%満足させる」

創業者の雷軍(レイ・ジュン)は、「80/80の法則」がシャオミにはあると言います。

これは「消費者の80%を80%満足させる」ということです。ですから、シャオミの製品に尖った先進機能は搭載されません。炊飯器をスマホから操作するというのも一見先進的な機能に見えますが、それが多くの消費者を満足させる方法であり、しかも本体につけるボタンやLEDの数が減るので、価格を抑えることにもなるのです。

価格性能比の最大化を狙うと言っても、なかなかピンとこないかもしれません。雷軍は、たびたび「無印良品のものづくり」に言及し、「デジタル界の無印良品になりたい」と発言しています。

無印良品のさまざまな製品も、既存の商品から不要な部分を省いたというのではなく、いったんゼロに戻して、ほんとうに必要な機能はなんであるかを考え、それを実現するのに必要な素材、製造法を採用するという手法をとっています。その結果、無駄な機能は採用されないので、価格も抑えられます。雷軍は、MUJIに憧れ、MUJIのものづくりをよく研究し、それを中国のデジタル製品の製造業に適用したのです。

そう言われてみると、MUJIの店頭に、シャオミ製品が陳列されていても、ほとんど違和感がありません。炊飯器の「米家」など、知らなければ、MUJIの製品だと言われれば信じてしまうかもしれません。

シャオミは、単なるスマホメーカーではなく、中国のスマホ市場を開拓したパイオニアであり、中国の製造業を大きく転換させてきました。

スマホ本体よりも先にアプリを作った

シャオミは創業時からスマートフォンの開発を目指していましたが、その発想は、一般的なスマホメーカーとまったく違っています。一般には、スマホ本体を開発して、そこに後からアプリを開発していきます。メーカー側に近いところから作っていき、消費者側に到達をします。

しかし、シャオミはいきなりアプリ開発を始めました。それからそのようなアプリを動作させるMIUI(ミーUI)を開発し、最後にそれに合わせてスマホ本体を開発する計画でした。つまり、消費者側から出発して、最後にメーカー側にたどり着くという考え方です。

このことだけでも、利用者視点のものができあがることは明らかです。

多くのメーカーがやるように、先にハードウェアを設計して、UIやアプリに関しては他の人にお任せするというやり方をすると、オーバースペックとアンダースペックの両方の問題が生じます。

例えば、画面解像度を大きくしてそれを売りにしたのに、その高解像度を活かすアプリが登場してこなければ、無駄になります。実際、裸眼立体視の機能などはまさにその通りになりました。無駄な機能が搭載されていれば、その分、本体価格も高くなってしまいます。

一方で、予想もしていなかったことが消費者の間で人気になると、それを想定していなかったハードウェアは一気に過去のものになってしまいます。自撮りが流行り出すと、それまでのインサイドカメラのついていないスマホは一気に過去のものになってしまいました。

ところが、シャオミのようにアプリ開発から始めると、このようなオーバースペックとアンダースペックが起こりづらくなります。製造コストは抑えられ、しかも使いやすく、満足できる製品になります。性能と価格のスイートスポットを狙える開発手法なのです。

シャオミの成功は、中国のスマホ業界を大きく刺激しました。シャオミの開発方針から、自然とシャオミ製品は、ミドルからミドルハイの領域の製品になります。しかし、小米2、小米3と進化していく中で、シャオミも次第にミドルハイからハイエンドの領域にシフトをしていきます。

ミドル領域に空きが出てきたところをファーウェイが参入してきました。そして、スマホが普及をすると、OPPO、vivoなどがローエンド領域から参入してきます。

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