ものづくり革命とも言える発明
現在のシャオミのスマホシェアは、決して大きくありません。2020年上半期のシェアは10.3%で、上位はファーウェイ、vivo、OPPOが占めています。しかし、上位3社は今ではハイエンドからローエンドまでをカバーしているため、大きなシェアを獲得できているのです。
シャオミも紅米というサブブランドを作ったり、若者向けの青春版などを発売して、カバー領域を広げようとしていますが、中心にあるのはミドルハイであることは変わりありません。
カバーしている領域が狭いために、シェアが大きくならないのは仕方のないことです。シャオミの開発思想とハイエンドからローエンドまでをカバーするということはなかなか相入れることはできません。アップルも中国ではシャオミと同じ理由でシェアが小さくなっています。
しかし、シャオミのスマホファンは熱狂的です。「米粉」(ミーファン)と呼ばれる根強いファンがいます。また、シャオミは、シャオミのものづくりを白物家電などにも広げ、多くのファンを生み出しています。
「消費者目線のものづくり」というのは、言うは易し、行うは難しの典型例です。多くの企業が、ユーザーアンケートなどをやって、その結果を改善案のひとつとして盛り込む程度のことにとどまってしまっています。
雷軍は、この「消費者目線」を「消費者に近い部分からつくっていく」という開発手法にまで落とし込みました。これは一種の発明であり、中国の多くのメーカーを刺激して、中国のものづくりを大きく変えていきました。
驚くのは、雷軍という人が、米国の一流大学に留学したことも、グローバルなテック企業に所属した経験もないということです。大学生の頃、抱いた夢を実現するために、何が必要なのかを自分で考え、自分で学んできた人なのです。
その意味で、何もないところから世の中を変える製品を生み出したビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアックと同類の人なのです。雷軍は、大学生の頃に『Fire in the Valley』を読んで育んだ大きな夢を実現した人です。
雷軍の青春時代:一言で言えばハッカー
ソフトウェア開発に明け暮れて学生起業
キングソフトでの挫折と新たな挑戦
シャオミに賭けた夢
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- vol.034:中国の人工知能産業は、米国にどこまで迫っているのか(8/24)
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『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2020年9月7日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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