いわゆるチャイナリスクが大きな原因で、「ふえるわかめちゃん」などのヒット商品で知られる「理研ビタミン」が上場廃止のピンチに陥っていると、ネットで大きな話題となっている。
先週15日の段階で、「2021年3月期第1四半期報告書の提出遅延および当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」というIRリリースを公開していた理研ビタミン。22日朝にはダイヤモンドオンラインが『「ふえるわかめちゃん」が上場廃止の危機!コロナより恐ろしい中国リスクとは』という、上場廃止の危機に至るまでの経緯を記した記事を公開するに至り、これで理研ビタミンの危機が広く知れ渡る形となった。
その記事によると、中国・山東省にある理研ビタミンの子会社が2018年以降、100億円を超える架空取引をしていたことが発覚。ところが理研ビタミンによる実地調査に対し、中国子会社は国家機密や社内の共産党委員会に関係する情報の流出、さらに従業員のプライバシー等を理由に拒絶。十分な調査ができなかったという。
また、理研ビタミンと中国子会社との間で、在庫の仕入・製造時期の認識に相違があることも後に判明。過年度の棚卸資産が過大計上されていた疑いが新たに持ち上がり、それに関する再調査の必要に迫られるハメに。そのため、10月16日までの発表延長が認められていた第1四半期決算の発表が、今回不可能になったという。
倒産したレナウンに続く中国絡みでの危機
この騒動を受けて、理研ビタミンの株価は先週16日に-21%の下落となり、ストップ安に。そして本日22日も上記報道の影響もあってか、前日終値から87円下げて1,390円と下落が続く。

理研ビタミン<4526> 日足(SBI証券提供)
このような状況に対し、同社株のホルダーからは悲鳴のような声があがっている。
ぎゃー!
理研ビタミンが大変なことになってるの知らなかったー。
どうしよう。
売った方がいいのかなぁ…— むうむう(むーちゅ) (@mukayan) October 22, 2020
また記事のなかでは、先述した子会社の調査拒否の件にくわえて、中国子会社には売掛金や銀行入金額を管理するシステムがなく、紙やエクセルなどに手入力をしていたことなど、中国子会社のずさんな経営状態も明かされている。これに対し「中国リスクを軽視する企業多すぎ」「中国リスクは一発で名門と呼ばれる企業を吹っ飛ばす」といった声が多くあった。
理研ビタミンに限らず、中国リスクを軽視する企業多すぎ。その影響がどんどん出てきている。 https://t.co/JJmdI2hxeB
— 地方で暮らしちゃえば? (@move_to_niigata) October 22, 2020
ふえるワカメちゃんの理研ビタミンは上場廃止?
中国リスクは一発で名門と呼ばれる企業を吹っ飛ばそうとしている。
商品は売り続けるのかな。
— たぬきつね (@tanukitunepokon) October 22, 2020
さらにチャイナリスクに関しては、2020年初の上場企業の倒産となったレナウンの件を思い出す人も。
「ふえるわかめちゃん」が上場廃止の危機!コロナより恐ろしい中国リスクとは | 倒産のニューノーマル | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/JVRiZ3clVL
理研ビタミンがまさかレナウンと同じ中国との不明瞭な売掛金問題で経営危機になってるとは思わなかった!経験者として言う!中国とは関わるな!— 音叉 (@onsa2235) October 22, 2020
「ふえるわかめちゃん」や「ノンオイル青じそドレッシング」の理研ビタミンが上場廃止の危機
中国子会社のパンドラの箱が開いてしまったようだ。そういえば、今年5月に東証1部レナウン破綻問題も親会社の中国企業との問題が浮上していた。今後、海外リスクが取り上げられてしまいそう。
— サムシングファン@動画係り (@douganopro) October 22, 2020
コロナ倒産と言われるレナウンだが、中国企業である親会社グループへの売掛金の未回収も、原因のひとつとされている。再びの中国絡みによる危機ということで、連想する人が多かったのであろう。
中国以外でもこの手の問題は起きる?
このように、今回の騒動でチャイナリスクの恐ろしさを改めて痛感する人が多いなかで、「どこの国かは関係なく、単なる親会社の管理問題では?」といった指摘もあがっている。
ちょっとニュース見てて、あまりにおかしいと思ったものでコメント。
「チャイナリスク」って書いてあるけど、完全子会社の問題であり、社内管理コンプラ面の対応不足が原因と思う。
なんでも人のせいにしてては、中国を含めた海外ビジネスでは成功できない。https://t.co/dkL5Ufl0nT— 小野寺まっさ@上海在住 (@kozochan) October 22, 2020
コンプライアンスがばがばのまま海外子会社に全部丸投げしてたら、国家間の壁で業務実態の詳細が闇の中に飲み込まれて手が出せないまま、正否判断が出来ないという理由で死にそうになってる……
中国っていうより海外丸投げで胡坐描いてた自滅感が強い
>RT ふえるわかめちゃん 理研上場廃止の危機— 犯人は@ヤス (@Ya_ssan) October 22, 2020
先述の記事にも、理研ビタミンと中国子会社との事業上の関係は希薄で、中国子会社の人事に関しても、親会社の理研ビタミンは関与してこなかったとの指摘があり、海外子会社とのディスコミュニケーションどころか、もはや海外への“丸投げ”にも近い意識こそが、このような事態を生んだというのは確かに一理ある話だ。
チャイナリスクはなぁ予見しにくいしわかるな…と理研の記事を読んで思った。中国子会社にあれこれ言えないとかもよく聞くし怖いねぇ
— 歌斗🍡( • ᴥ • )🍁 (@Kyte1233) October 22, 2020
とはいえ「中国子会社にあれこれ言えない」と、今回のような問題が中国相手にことさら多く起きているのも、また1つの事実。今回の件に関しては、子会社への実地調査が国家機密などの情報流出を理由に調査を拒絶されたとあり、これはまさに中国特有の事情ではないか。
ともあれ、いまや企業の海外進出は当たり前になり、特に市場が大きく人件費も安く、さらに比較的近場な中国には、多くの日本企業が進出している。そんな状況下で、この手の問題は今後さらに顕在化していきそうだ。
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