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日本による情報工作の勝利?韓国の反日と「WTO乗っ取り」失敗の真相=勝又壽良

韓国が総力を挙げて当選を目指してきたWTO事務局長選の最終選考において、韓国側候補者の敗色が濃厚になってきた。なぜ文政権は事務局長の座を得たかったのか、その根底にもやはり反日がある。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年10月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

WTO事務局長選、韓国は敗色濃厚

韓国が、総力を挙げて当選を目指してきたWTO(世界貿易機関)事務局長選の最終選考において、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の敗色が濃厚になってきた。EU(欧州連合)27ヶ国が、韓国のライバル候補であるナイジェリア元財務相のオコンジョイウェアラ氏を支持することで合意した結果だ。

WTO加盟国は164ヶ国である。地域別の内訳は次のようなものだ。

アフリカ   44カ国
欧州     37カ国
アジア太平洋 49カ国
中南米    31カ国
北米      3カ国

WTO事務局長選は、単純に票数では決められず、米国、EU、中国、日本などの最終意見を聞いて決まるという。ただ、票数が基盤になることは当然であろう。これを頭に入れて兪明希氏とオコンジョイウェアラ氏の票数を占うと、だいたいの見当がつくのだ。

オコンジョイウェアラ氏は、アフリカ44ヶ国とEU27ヶ国が基礎票である。これだけで71票になる。WTO加盟国は164ヶ国であるから半数は82ヶ国だ。オコンジョイウェアラ氏は、基礎票71票にあと12ヶ国の支持を積み増せば過半数の83票になる。オコンジョイウェアラ氏は、数日前に79票を確保したと話したが、決して過大に言っていなかった訳だ。

今回のWTO事務局長選の前に、「次の事務局長はアフリカ出身で女性」がコンセンサスになっていた。最終選考に残った2人の候補者は、いずれも女性である。そういう意味では、事前のコンセンサス通りに選考が進んでいる。

韓国大統領府が、事前コンセンサスの「アフリカ出身で女性」を理解していなかったとは思えない。韓国出身者が、過去2回のWTO事務局長選に立候補して、あえなく第1次選考で敗退している。今回は、2次選考をパスし最終選考2人の候補の中に残っただけに、「あるいは勝てるか」という希望を膨らませたのであろう。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、これまで約90カ国と電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴え、総力戦を繰り広げてきた。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も外交チャンネルを通じて支持を訴えてきた。康長官は、「毎日、電話での依頼が仕事である」とぼやくほど、韓国の外交網を総動員した。

WTOに全力投球した裏に

韓国政府が、これだけ熱意を込めてWTO事務局長選を支援した理由は何か。

第1は、文政権が就任以来、何らの業績も上げていないという実態がある。

経済面では、最低賃金の大幅引き上げが雇用を破壊した。生産性を上回る大幅な賃金引き上げが、解雇者を増やして、最賃引き上げと真逆の結果をもたらした。

外交面では、日韓外交が最悪事態に落ち込んでいる。文氏が大統領就任によって「反日政策」を矢継ぎ早に行った結果である。米韓同盟も軋んでおり、米国の主導する「インド太平洋構想」にも中国の鼻息を気にして、曖昧姿勢をとっている。

このまま進めば、文在寅氏は何1つ業績のない大統領という刻印を押される。それを覆すには、WTO事務局長選で勝ち抜いたという「宝物」が不可欠である。韓国の国格を引き上げると考えているからだ。

韓国政府のWTO事務局長選支援チーム・トップは、大統領府の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長が当った。金氏は、外交部によるサポートを康京和(カン・ギョンファ)長官に要請。康長官は「(当然のことであり)要請までする必要はない」とやり返すほどだった。このやり取りの中に、文大統領がWTO事務局長選に最大の関心を寄せていたことを物語っている。政権浮沈の鍵が、WTO事務局長選にあったことを示している。

Next: なぜ韓国は必死になったのか?日本は文政権の深慮遠謀を見抜いている

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