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日本による情報工作の勝利?韓国の反日と「WTO乗っ取り」失敗の真相=勝又壽良

WTO事務局長の座を手にすれば反日が捗る

第2は、韓国がWTO事務局長ポストを手に入れれば、日本との紛争において極めて有利な立場になることだ。

韓国が提訴している「半導体3素材の輸出手続き規制強化」撤廃は、安全保障上の問題であり、日本の手続き規制は正しいというのが米国の立場だ。だが、韓国がWTO事務局長に当選すれば、韓国に有利な判断を出せる立場になるのだ。

韓国は、福島県産ほかの海産物について、WTOで「風評被害」という雲を掴むようなことを根拠に、日本に不利な輸出禁止条件を科すことに成功した。科学データで無害が立証されながら、WTO上級審を煙に巻いて輸入禁止措置を合法化させたのだ。

こういう「奇襲作戦」が、韓国の特技である。WTO事務局長が韓国出身者になれば、いかなる奇策が罷り通るか分らないリスクを発生させる。日本として、韓国出身WTO事務局長を避けたいのが本心であろう。

もう1つ、福島原発処理水問題で日本は海洋放出方針である。これは、世界各国が行なっている方法だ。むろん、韓国原発も海洋放出である。だが、韓国はこれを「ネタ」にして、「日本不法投棄」という反日にすり替えている。

福島原発処理水問題では、トリチウムの扱いが焦点になっている。日本では、さらに科学処理を加えて無害にして放出すると発表している。トリチウムが、すでに自然界に存在する物質であり、海に放流しても問題ないということは、科学の世界で周知のことだ。これまでも複数の国の原発施設が、海などへ放流してきた。トリチウムによって、海洋生態系および人々の健康が深刻に脅かされた事例もない、と説明されている。

韓国社会は、こうした科学データに無関心である。今後、日本が海洋放出すればどうなるか。韓国は、全面的に日本の海産物輸入禁止措置を行う算段である。韓国の反日集団は、こういう科学データを無視する衝動的な民族主義者である。その時、WTO事務局長が韓国人であれば、いかようにも日本を叩けると計算済みであろう。

韓国の深慮遠謀を見抜く

日本が、こういう韓国の深慮遠謀を見抜けないはずがない。韓国の兪明希氏に賛成できないのは当然なのだ。梶山弘志経済産業相は7月7日の記者会見で、WTO事務局長選出に関する日本政府の立場を問われ、「日本も選出プロセスにしっかり関与していきたい」と述べた。これが、韓国では「韓国候補者反対」という意味に受け取られた。

韓国では、兪明希氏がWTO事務局長選に立候補した時点で、日本の賛成票を得られないと覚悟していた。兪氏は、日本の対韓輸出規制に対する韓国政府のWTO提訴を担当してきた人物である。兪氏のWTO事務局長就任は、日本政府として重荷になると見られてきた。

WTO事務局長選では、支持の最も低い候補から脱落する過程を繰り返し、最終的に1人の候補者を全会一致で選任するという方式である。韓国では、日本が兪氏に反対して否定的な流れを作れば、悪影響を及ぼす可能性があると予測していた。韓国外交消息筋は、「WTO事務局長の選出には、すべての加盟国の同意が必要なため、日本の反対が強ければ、合意に至る過程でそれが障害になる」(『朝鮮日報』6月29日付)と報じてきたのだ。韓国では、日本の動きに神経を使ってきた。

6月末当時はまた、韓国が「G7拡大」で常設メンバーになるかどうかも話題になっていた。日本はメンバー増加にドイツやカナダとともに反対意向を表明した。これについて、前記の朝鮮日報記事で韓国大統領府関係者は、「隣国に害を与えることに慣れた日本の一貫して反省しない態度にはもう驚きもしない」とし、「恥知らず」と強く批判した。WTO事務局長選に日本が反対するのも、「恥知らず」という認識であったのだろう。

ただ、WTO改革で日本は米国・EUと、「世界3極構造」を形成している。日本の意見がそれなりに影響力を持っている。先の梶山弘志経済産業相が、WTO事務局長選出に「日本も選出プロセスにしっかり関与していきたい」と発言をした背景である。韓国大統領府の「恥知らず」発言は、井の中の蛙的なものであり、日本の存在感を無視した暴言と言えそうだ。それは現在、WTO事務局長選の最終局面で、韓国が嫌と言うほど認識することになった。

Next: 日本のネガティブ・キャンペーンのせい?韓国が抱える敗北感

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