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戦後最悪の「ステルス大恐慌」を通過しバブルへと向かう日本=児島康孝

日本で米国流の雇用改革が失敗した理由

アメリカ型の「雇用の構造改革」を日本で使うには、条件があったのです。

例えばアメリカでは、履歴書に写真は貼らず、人種や性別・年齢も書きません。つまり、採用担当者は、スキルの欄だけで人選を進めます。基本的には、雇用差別をなくし、仕事を失っても再びカムバックできる風土です。外見や年齢を含めたどういう人物かは、面接のときになって初めてわかるといいます。

ところが日本では、事実上、特定の年齢や性別をターゲットにした採用が行われています。つまり、多くの非正規雇用者のパターンで、2度と安定した仕事には戻ることはできないのが現実です。

ですから、写真ナシ・年齢ナシ・性別ナシの採用が現実化してから、アメリカ型の雇用改革を取り入れるべきであったわけです。見かけだけアメリカ型をとりいれたので、大失敗しているのです。

先日、弁護士の女性の方が、仕事がなくて弁護士資格を返上するという記事をみかけました。デフレ恐慌で仕事や雇用が全く足りない現状では、能力やスキルがあっても、生かされることはなく、単純労働者となりがちです。

また、フリーエージェント社会(個人で仕事をする社会)も、アメリカでは芽生えを感じられます。ですが、日本はほど遠いので、現実化してから考えれば十分でしょう。

起業については、「日本は砂漠」と孫泰蔵氏(ガンホー創業者・孫正義氏の弟)は言っています。現実には、融資は受けられないし、起業をサポートするインフラも不足しています。

保育所問題が取り沙汰されるのは当然

保育所問題が注目されているのも、あたりまえです。収入がない場合、保育所に幼い子供を預けられなければ、「飢え死にしてください」というようなものです。子供をおぶったまま仕事をさせてもらえるような所は、ほとんどありません。

一方、ネットなどで求人広告をたくさん見かける、という反論もあるでしょう。しかし、これらは、人材派遣会社が出している場合がほとんどです。

つまり、人材派遣会社は、登録者を集めているわけで、クライアント企業に気に入られるように、非常に年齢・性別を厳選して採用し、派遣しています。

昔のように「仕事があって、そのために募集する」という感じではなくなっています。第一段階として、人材派遣会社の選抜をクリアするのが大変な世の中になっているのです。人材派遣会社にすれば、厳選採用して派遣した方が、評価を得られますからね。

このように国民の大多数に「貧困化」が迫っているのが、今の日本の現状です。

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