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米大統領選の勝者は「習近平」中国が描く未来地図に日本は存在せず=原彰宏

取り戻せるか、世界のトップリーダーとしての地位

もはや世界にとって重要なのは、米国よりも中国にあると思われます。

米国のリーダーが誰になるかが今までの世界秩序においては最も重要なことでしたが、今は、米国よりも中国がどのようなメッセージを発するかが大事になってきています。

米国大統領選挙を論じるのは、さほど重要なことではないように思えます。

それもこれもトランプ大統領の登場によるもので、世界各国も、米国との関わり方を見直す動きがあるように思えます。

バイデン次期大統領は、このトランプ大統領による世界における米国のプレゼンスを変える、世界のリーダーとしての地位を取り戻すことを宣言しています。

特に欧州では、脱米国、脱日本(米国と日本はひとかたまりなので)の動きが進んでいることから、バイデン次期大統領は、欧州との関係改善を優先するようです。

キーワードは「尊敬されるアメリカ」です。トランプ大統領の「偉大なアメリカ(Great America)」ではなく、「アメリカが再び世界に尊敬される国」となることを目指すとしています。

中国にとっては、トランプ大統領の自国第一主義(アメリカ・ファースト)の方が、世界戦略の上では都合が良かったのではないでしょうか。トランプ大統領の言う通り、米国が儲かれば良いわけですから、トウモロコシでも何でも買ってあげるから、自国でおとなしくしておいてという感じだったような気がします。その間に、海底トンネル内を中国国旗で埋め尽くしていったように思えます。

バイデン次期大統領は、ここまで拡大した中国網とどう戦っていくのでしょうか。

中国も失速?「五中全会」のメッセージ

その中国が発する重要なメッセージが、中国共産党「五中全会」から発せられました。

中国は、国家の上に共産党が存在する国なのです。中国の軍隊は、国ではなく共産党の軍ですからね。中国にとっては、共産党総会のほうが、国会に当たる全人代よりも重要だということです。日本で例えれば、国会よりも自民党総会のほうが重要だとするようなものです。国会軽視の前政権からの流れは、日本が中国化しているというのでしょうかね。

五中全会は、この共産党総会の一中全会・ニ中全会とあって、5回目の会議になります。共産党は今回の会議に関するコミュニケ(公報)を10月29日に発表し、来年から始める5カ年計画(「国民経済及び社会発展第14次五カ年計画」)および「2035年までの長期目標」に関する党中央の提案が可決されたことを明らかにしました。

五中全会のポイントは、来年から始まる五カ年計画の中身にあります。

コミュニケでは具体的に目標とする経済成長率への言及はなく、「質と効率の大幅な改善に基づき、持続的かつ健全な経済発展を達成する」と強調しています。

中国は2016~2020年の第13次5か年計画で年平均成長率を6.5%としましたが、新型コロナウイルスという未曽有の試練を受け、その達成は極めて難しい状況となりました。

中国は計画経済ですから、この6.5%という数値目標は、結果ではなく絶対達成となります。つまり、すべてをこの数字に合わせるように行動するということで、それが俗に言われる「中国の数字は作られたもの」と言われているようです。

中国の計画経済とは、たとえば中国人民の生活を、先進国の中程度にまで引き上げるという目標を掲げたとしたら、そのためには具体的に、成長率はいくら必要かを計算するものです。

恐ろしいのは、計画と言えども未達は許されないということ。来年からの5年間(2021~25年)にかけて、未公表ながら、どうやら4.7~5.0%とするのではないかと見られています。

先程の計画経済の話になりますが、習近平中国国家主席は、2035年には、中国の国民1人当たりGDPを、先進国の真ん中あたりの水準に引き上げることを目標に掲げています。

そこから逆算すると、どうやら年間の経済成長率(GDP成長率)は、実現が難しい数字になりそうで、下駄を履かせるにも無理があるものになる模様。それで明確な経済成長率は公表していないようですが、ここまでの経緯から「5%以下になる」とはとても言えないという思惑などが交錯して、4.75~5.00%という思惑数字が出てきたのではないでしょうか。

そこから見える世界は、リーマン・ショック後のような中国経済が世界を引っ張るだけの勢いはないということになります。

Next: 今回の大統領選の勝者も「中国」か。他国に頼らぬ成長を模索

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