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「ファンドラップ」で販売会社が儲かるカラクリ、投資家が損をする理由=街

プリンターは本体価格を安くし、消耗品のインク販売で儲けるビジネスモデルです。これの金融商品版が、手数料は年間2%のみと謳う投資信託「ファンドラップ」になります。(『億の近道』街のコンサルタント)

プロフィール:街のコンサルタント
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。

金融業界のプリンタービジネス「ファンドラップ」は投資家泣かせ?

増加する「本体価格を下げ消耗品で稼ぐ」ビジネスモデル

読者の皆さまもよくご承知の通り、市販されているプリンターは本体価格を安くして、その後のインク(カートリッジ)で儲けるビジネスモデルです。しかしよく調べると、メーカーによって対応方法が違うことに気が付きます。

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このビジネスモデルを推進したのは、キヤノンだと言われています。最近ではどこのメーカーも似たり寄ったりの戦略を取っていますが、中にはエプソンのように、特に個人ユーザーにターゲットを絞り、かつ年賀状印刷やたまに写真印刷をする程度の使用頻度の少ないユーザー向けの商品を開発するなど、差別化をしていると思われる企業もあります。

例えば、エプソンの特徴は次の通りです。法人向けでは法人対応の仕様にして、かつそれなりの価格設定にしています。その一方で、使用頻度の少ない(知識の少ない)個人ユーザー向けの機器では余計な機能を省き、競合他社に負けない低価格戦略で台数を稼ぎます。さらに、インクカートリッジについては純正品以外が使いづらい仕組み(頻繁に警告を出すプログラム)にして、かつカートリッジの中身を見えないようにし、残量が半分程度になると「残量が少ない」という警告表示を出すなどで、恐らくITが苦手なユーザーに頻繁にカートリッジ交換を促す(荒稼ぎする?)戦略です。

キヤノンの場合には、個人向けの機器でも一定以上の品質を維持する反面、価格は高めになりますが、カートリッジの仕様や警告表示のプログラムについても(一流企業であるとのブランドを意識してか?)比較的消費者に対する誠意を感じます。ただし本体価格もカートリッジ価格も両方とも高めです。

これらを真似て、コーヒーメーカーではドリップ機器本体のレンタル料を無料にしてカートリッジは自社のものしか利用できない仕様にしたり、水宅配ビジネスでは水タンクの独自供給で利益を確保する、などといったビジネスが増えました。

これを金融業界に当てはめると、ファンドラップになりそうです。

Next: 毎年の手数料で稼ぐ金融業界のプリンタービジネス「ファンドラップ」のカラクリ

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