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迫られる「米国か中国か」の選択。どっちつかずで沈む日本、覚悟を決めて成長するインド=原彰宏

米国か、中国か。日本は双方から選択を迫られている

外交問題のポイントは、米国と中国が「新冷戦」として対立する中で、インドが明確に中国と対峙する姿勢を表明したことで、アジア諸国とりわけ日本に対しても「米国か中国か、どちらかを選べ」と迫っていることにあります。

もちろん表立って踏み絵を求めているわけではないですが、その背景には、常に「米中選択」を迫られていることを理解しておくべきです。

政治では親米でも、経済では中国抜きでは語ることはできません。

それはアジア諸国も同じで、一帯一路で中国経済包囲網に取り込まれたアジアや、借金外交で中国に抑え込まれたアフリカなどの既成事実からして、もはや中国には逆らえないという風潮ができ上がろうとしています。

次世代インフラもそうですし、デジタル通貨競争、金融の側面でもそうですし、そしてワクチン競争でもそうですが、もはや中国の世界制覇は着々と進められていると言えそうです。

そういった中で、世界第3位の経済大国日本は、今後、事あるごとに米国か中国かの選択を迫られるようになってくると思われます。

安全保障上でも日本の立ち位置は危うい

「QUAD」に関しても、日本の立場は微妙です。

QUADの意味は「4つ」で、安全保障上では「4ヶ国」。それは日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヶ国による「日米豪印戦略対話」を意味します。

日本は「QUAD」と前述の「FOIP」をどう使い分けるかが問われます。

このQUADにイギリスが参加することを、ジョンソン首相は表明しています。中国の人権問題が、米中対立におけるテーマとなっています。それはウイグル地区や台湾や香港に関わるもので、香港並びにインドは、かつての大英帝国を彷彿させますからね。香港に対する中国の態度は、イギリスとしても看過できないというものでしょう。それより、EU離脱後の英国の存在感を求めているのかもしれませんね。

欧州は、米国とは別路線を歩むことは決めていますが、ドイツは中国との貿易が活発で、自動車産業においては、中国抜きでは存続できない状況でもあります。また天然ガスは、ドイツはロシアからパイプラインで供給してもらっています。

欧州と中国、欧州とロシアの関係も、今後の世界情勢を見るうえでは、すごく重要になってきます。

中国は、かつての中華思想そのままに、世界の中心に君臨することを狙っていて、ロシアのプーチン大統領は、ロシア帝国の復活を目論んでいると言われています。

日本は地位協定を含め、戦後一貫して「親米路線」を貫いてきています。日本国内での構造改革においても、かつてあった「年次改革要望書」の指示通りに郵政を民営化し確定拠出年金制度を導入しました。いまは、安全保障面で「アーミテージ・ナイ報告書」に従って行動しています。「年次改革要望書」は、米国産業界からの日本への構造改革指示書のようなもので、日本はずっと、その指示に忠実に従ってきました。

「アーミテージ・ナイ報告書」は、最新のものは、昨年12月に出された第5次報告書になっていて、QUADのことも触れていますが、尖閣諸島に関して、日米安保第5条の適用にも触れています。
※参考:【アメリカ】第5次アーミテージ・ナイ報告書 – 国立国会図書館

世界における日本の立場としては、米国と中国、どちらか一方を選択を迫られることだけは避けたいわけで、日本の本音はまさに「Don’t make us Choose!」だとのことです。

Next: 米中外交トップ会談のテーマは?日本が求められていること

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