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迫られる「米国か中国か」の選択。どっちつかずで沈む日本、覚悟を決めて成長するインド=原彰宏

対中包囲網が着々とできあがっていく

改めて、現在の世界情勢を整理しましょう。

「日米豪印(QUAD)vs. 中露」となっていて、これに英国がQUAD側につくという構図です。

さらに現時点では、EUはニュートラル。日本は、表向きは親米ながら、経済の実質は中国ナシでは成り立たないという感じです。東南アジアは、本音を隠して親中路線。アフリカ大陸には選択の余地なく親中国。

GDP規模ではQUAD有利にも見えますが、東南アジアの成長で中露連合の方が大きくなるでしょう。参加国数では、断然、中露連合のほうが多いですね。

安全保障やサイバー上での共闘として「ファイブアイズ(Five Eyes)」というのもあります。米英などアングロサクソン系の英語圏5カ国によるUKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組みの呼称で、米英が立ち上げ、1950年代までにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わりました。米国以外は英連邦の構成国です。米国を中心に「エシュロン」と呼ぶ通信傍受網で電話やメールなどの情報を収集・分析しているとされています。参加国の情報機関は相互に傍受施設を共同活用します。長らく公式に存在を認めていなかったものが、2010年の関連文書の公開で活動の一端が明らかになりました。

そして、日本、ドイツ、フランスの3カ国と連携して、中国などのサイバー攻撃に関する情報共有の新たな枠組みを作るようになりました。日本が政府調達から中国企業の通信機器を事実上締め出す方針もこれを受けたもので、今後はインターネット上で大量のデータを管理する「クラウドサービス」についても、政府への納入業者を対象にした厳しい安全基準を策定する方針となっています。

すべては対中国に対する包囲網となっていて、あからさまに中国を敵視したものになっています。

米中外相会談では、その対立がかなり全面に出ていて、実務面に加えて人権問題も加味され、どちらも立場を譲らない姿勢がはっきりと出されていました。

「アメリカの内政干渉に反対」手を結ぶ中国とロシア

この流れの中で、中国がロシアと外相会談を行いました。

中国とロシアは、アメリカの内政干渉に反対の立場で、対米国姿勢で連携を強めることを確認したのです。

中国側は王毅(ワン・イー)国務委員兼外相、ロシア側はセルゲイ・ラブロフ外相。場所は中国広西チワン族自治区桂林と、まさに外交におけるトップ同士の会談です。

「アメリカは内政干渉と『小さいサークル』の形成をやめるべき」という意見の一致を見ています。この「小さいサークル」「小グループの形成」という表現が意味深ですね。

今年は中露善隣友好協力条約の締結から20年にあたるようです。中露はバイデン政権の発足で、これまで以上に関係を強化する必要に迫られていると報じています。

中国は、米中会談で新疆ウイグル自治区少数民族弾圧を米国から指摘されていますし、ロシアは自国大統領を「人殺し」呼ばわりされていますからね。

「米国グループ vs. 中露連合」という構図は、今後ますます対立の度合いを増してくると思われます。

Next: 日本はいつまで「どっちつかず」を続けられるのか?

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