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大阪の“事実上医療崩壊”を招いた失敗の本質。日本政治は何を間違えたか?=吉田繁治

ワクチンの接種率:人口100人当たり(4月19日時点)

各国のワクチン接種率を見てみましょう。

イスラエル 114.7%(人口の55%が2回の接種を完了)
UAE     98.6%
パラオ   91.9%
チリ    69.4%
バーレーン 65.4%
英国    64.2%(人口の15%が接種を完了)
サンマリノ 63.2%
米国    63.1%(8500万人が接種を完了:人口の26%)
欧州は総じて25%~30%
中国    13.7%
韓国     3.1%
日本     1.6%(医療従事者の一部)

※出典:チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は:日本経済新聞

海外首脳としての初めての(異例なことが多い)首脳会談で、菅首相は、バイデン氏に早期供給を後押ししてくれるよう要請したようですが、「直接ファイザーに電話してくれ」とされたようです(10分の通話)。

6月の五輪前かとも思われていたファイザー社のワクチンが、日本の、16歳以上の全員に供与されるのは9月からという(日米首脳会談の成果としての菅首相の弁=メディアの一致した報道)。

ところがこれについて、ファイザー社は、本社からの公式見解で「協議は継続中としかいえない」とし、供給契約の締結がされたのではないと述べています。菅首相の言葉は、内閣の支持率を高めるための、電話でのお願いを、勇んで合意としたプロパガンダでしょう。内閣の支持率は、5ポイント上がっています(51%:毎日新聞)。

日本のメディアは、今回も、裏をとった報道をしていません(ファイザーに電話をして確かめたという元朝日新聞記者の佐藤章氏)。

英国のアストラゼネカと米国のジョンソン&ジョンソンのワクチンでは、接種後2週間くらいで脳や胸部などで危険な血栓が発生したという副反応を無視できないことから接種が延期され、禁じている国も多い。

このため、ファイザー社のワクチンだけになっています(6か月以上の長期の副反応は検証がないのですが……)。

新型コロナのワクチンは、3か月程度の治験しか経ていません。この意味は、(1)接種後6か月以上の効能、(2)変異後の各パターンへの有効度、(3)長期の副反応は、「分からない」ということです。

それでも、米国で認可されたのは「コロナの急増が及ぼす社会・経済的な害より、副反応の害がはるかに小さいだろう」という仮説的な理由によるものです。

普通、副反応が懸念されるワクチンは、7年で数万人以上の治験を経ます。

今回は、感染数が特に米国で激甚になったあとの泥縄だったので、「時間の猶予がない」として省略されたのです。ご自分が接種を決めるときは、以上のことを知っておく必要があるでしょう。

「副作用のない医薬はない(ただし、その程度の差はある)」というのが、医薬の基本原理です。漢方薬でも当然、効能の高いものほど、副作用があります。

大阪府の新規感染数

N501Y型への変異によって、3月末から、新規感染が150人/日に増加しはじめました。

4月18日には1,219人。過去のピークは21年1月初旬の600人台でしたから、現在、約2倍です。2倍に増えて、府の医療は崩壊したのです。

N501Y型は、感染力と重症化率が、従来のものの約2倍と推計されています(まだ明証はない)。1人の陽性者が他人に感染させる実効再生産数が1人以上と高く、短期で広がる性質があります。
※参考:【大阪府】新型コロナウイルス感染者数・死者数の推移・累計グラフ:最新ニュース – NHK

<実効再生産数>

大阪府を含む、日本全国の実効再生産数は、2月末までは0.8人くらいでした。「次第に収束する」ことを示す数値です。ところが4月には、急に1.2~1.3に上がっています。
※参考:新型コロナウイルス 国内感染の状況 – 東洋経済

「2月までと同じ人の密度なら、感染数が1週から2週間で30%くらいは増えていく」ということを示しています(全国平均)。

観光や外食は減らしても、通勤電車の密度が避けられない東京圏と関西圏では、1週で30%以上の増加になるでしょうか。このため3回目の「緊急事態(外出の抑制)」が必要になったのです。

(注:事実、4月20日の東京の感染者は629人でした。先週比で1.28倍。変異ウイルスの実効再生産数が1.2くらいなので、来週も、少なくとも1.3倍は増えるでしょう。東京も第4波に入りました)。

米国よりはるかに少ない感染者数で、日本で緊急事態の必要が出るのは、隔離ができる感染者用病棟の準備が、少ないからです。

わが国では、特に2000年から急増してきた高齢者の医療費を抑制するため、入院ベッド数が減らされてきたからです。約20年の根深い問題が関係しています。

Next: 雪だるま式に増える医療費がGDPを抑制。さらにコロナが追い撃ち

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