政府が国民の忘却を待っている感もある森友問題ですが、「赤木ファイル」の開示で風向きが変わってきました。しかし、ここから司法も行政もまったく動かないということになれば、もはや法治国家も三権分立もすっかり崩壊してしまいそうなところにさしかかっていることがわかります。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2021年6月28日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
バカな国民はすぐに忘れる?
安倍前総理大臣の政権運営哲学は、次のようなものであったと見えます。
・国民はバカである
・どんなに問題が起きて怒りを買うことになっても、時間が経てば必ず忘れる
・政権のテーマを切り替えて与えることで、完全に気をそらすことは可能である
・論理的矛盾があっても、繰り返し叫ぶことで事実として信用させられる
実に失礼な内容となっているわけですが、2017年に起きた森友問題は4年を経て、安倍前総理の思惑どおりに国民の関心を失う事案になってきています。
「赤木ファイル」が切り札となるか
しかし、森友学園の国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざんで自殺に追い込まれた近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんがその経緯をまとめた通称「赤木ファイル」が6月22日に開示されたことで、状況は一変しそうな雰囲気になってきました。
将来的に問題になるであろうことを確信されていたのでしょうか。赤木氏のまとめたファイルは実に518ページにも及んでおり、改ざん日時も詳細に記録されていて、虚偽と否定することはまったくできない内容になっています。
今のところ開示されたばかりですから、マスコミなどもすべてを詠み込めていない状況です。
しかし、これが開示されて暫く経っても司法も行政もまったく動かないということになれば、もはや法治国家も三権分立もすっかり崩壊してしまいそうなところにさしかかっていることがわかります。
そもそも森友問題とは
4年も経過して、「森友問題」というのはいったい何なのかをお忘れの方も多いと思います。
2017年2月に突然発覚したもので、もともと幼稚園を経営していて、さらに小学校の新設を計画していた学校法人「森友学園」が、当時の安倍前首相の妻である昭恵夫人が関わることで、国有地であった土地の価格を8億円超引きという不当に安い価格で売却されたとの疑惑が浮上することとなりました。
当時、国会で答弁した安倍前首相は、自分と妻が関わっているなら辞職するとさえ大見得を切ったわけです。
その直後から財務省は忖度したのか、為政者からの指示があったのかは不明ですが、昭恵夫人や政治家に関係する記述を削除するなど公文書を改ざん。
近畿財務局の元職員赤木俊夫さんは、当時財務省理財局長だった佐川宣寿氏らの指示で改ざんを強要され、失意のままこの事実関係のわかる精密に蓄積されたファイルと遺書を残して、自ら自殺に追い込まれています。