金融機関にとって、NISAの旨味は少ない。だから…
実のところ、初心者向けにコストが低い商品が多いNISAは、取扱機関にとっては旨味の少ないビジネスです。もともと金融機関にとっての儲けの源泉は手数料ですから、それが低く抑えられているとなると、他に儲けのポイントを見つけなければなりません。
通常、株式の投資信託などであれば、だいたい3%ほどの手数料を支払うことが多いかと思いますが、インデックス投信などになると、高くても手数料は0.5%前後でしょう。
NISA口座の場合、限度額120万円まで投資に充てたとしても、手数料が0.5%の場合、金融機関が得られる手数料は6,000円ということになります。50万円を投資したら、手数料は2,500円です。
この手数料だけでは、金融機関は赤字となり、おそらく人件費も賄えないでしょう。コストパフォーマンス的に見合わないのが実情です。
それでも、金融機関がNISAを取り扱っている理由は、1つには国が後押ししている制度だから、やらざるを得ないということ。
もう1つの理由は、「NISAユーザーの中に、将来的に自分たちの優良顧客になってくれる人がいるのではないか」という期待があるからです。
「金融機関は、新たな顧客発掘を目指して、実店舗であれば電話や訪問などの手段で、NISAユーザーに対して営業をかけています。ネット証券であれば、手数料の高い商品を上位に掲載するなどして、あの手この手で売り込みを図っているという話を聞きます」(織田さん談)
金融機関の言葉を鵜呑みにしてはいけない
金融機関も営利企業である以上、利益を出さなくては事業を継続していくことができません。
このような状況ですから、私たちユーザー側は、相手が金融機関だからといって、担当の言うことを鵜呑みにしないほうが良いでしょう。きちんと自分で商品の吟味をしてから行動することをオススメいたします。
最後に、織田さんがおっしゃった総括を下に記しておきます。
「NISAとは、あくまでも選択肢の1つに過ぎません。自分でNISAの特性やメリット・デメリットを比較検討した上で、『NISA内でインデックス投資を少額で始めてみよう』といった結論に達したのであれば、特に反対する理由もないかと思います。
しかしそうではなくて、盲目的に『NISAには国のお墨付きがあるから大丈夫だ』といった買い方をしてしまうと、投入したお金が老後資金である場合は特に、失敗したら取り返しがつかなくなることも考えられます。大切なのは、自分で考え、納得した上で、商品を選択することなのです」