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国が勧める「NISA」の真実。非課税にしてまで政府が手に入れたいもの=俣野成敏

NISAのメリットとデメリット

確かに、つみたてNISAは金融庁の基準をクリアした商品に限られ、手数料も低い商品に限定されています。こうした配慮を、“国のお墨付き”と勘違いしている人が多いのでしょう。

そうはいっても、NISAも投資である以上、リスクをゼロにはできません。NISAのメリットは非課税であることですが、結局、運用がマイナスになってしまえば、そのメリットも享受することができなくなります。

「NISAで購入した商品によって利益が出るか?損失になるのか?は、どのタイミングで何を買うか次第です。あくまでも運用者は自分であり、マイナスも自分で引き受けなければならない、という点に注意しておくべきでしょう」(織田さん談)

実際、NISAにはいろいろな制約が多く、それがデメリットになりかねない面があります。

たとえば、購入できる商品が限られています。NISAは、口座内で決められたものの中からしか選択することができません。低リスクの商品を集めているということは、当然ながらリターンも低くなる可能性があります。「基本的に、良い商品は一般口座のほうが多い」と織田さんは言います。

また、NISAはもともと非課税口座のため、他の証券口座で出た損益との通算も不可となっています。よって、仮にNISAで損失が出たとしても、他の証券口座で出た利益との通算ができず、その利益は課税対象となります。NISAは、利益が出た時だけしか、メリットを享受できない仕組みなのです。

なぜ非課税?税収を減らしてまで国が手に入れたいものとは

NISAにこれだけ制約が多い一因は、NISAが非課税枠だからです。投資の利益に税金をかけないということは、それだけ、国の税収が減ることを意味します。

国が、自分たちの税収を減らしてでも、NISAを推進しようとしているからには、「何か裏がある」と考えるのが妥当でしょう。普通に考えて、国は絶対に自分たちの損になるようなことはしないはずです。

「コロナ禍にあって、国は少しでも多くの税金を取りたいのが本音ですから、『そうまでしてやりたいこととは何だろう?』と考えることが大切です」(織田さん談)

個人資産を投資に向かわせるためにNISAをつくった?

確かに、世間で言われているように、NISAは老後の資産形成需要に応えるための制度として生まれてきたのは事実です。来るべき少子高齢化による労働人口の減少と、長くなる一方の老後に対応するには、国民が自ら資産運用をしていくことが急務だとされました。

こうした経緯から、NISAは投資初心者向けに制度設計がされています。「これまで投資をしたことがない人に、投資に親しんでもらう」という目的については、一定の成果を上げていると言えるでしょう。

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