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五輪に便乗「神宮外苑再開発」の深層。新国立競技場建設で“高さ制限”緩和、地価上昇で儲かるのは誰か?=原彰宏

神宮外苑地区地価が上がるメリット

これら一連のことは、「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」が正式名で、その計画書は2019年4月15日に出されています。翌年1月22日に出された変更届のものが、今ネット上で、PDFで見ることができます。

そこに書かれている会社名は三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事。もうここまでの流れですでに登場してきている名前なので「やはりな」と思われるでしょう。

この高さ・容積制限の緩和により、このあたりの地価は上がってきました。公示地価は、一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準となっています。

高層化によって、土地面積あたりの収益性が高まりますし、容積そのものが売買の対象になるため、競技施設を新設する費用を生みだすこともできます。

地権者という目で見れば、一般財団法人高度技術社会推進協会や日本オラクルの名前も出てきます。

一般財団法人高度技術社会推進協会はまさに神宮外苑にあり、何をしているところかは、ホームページがあるので、そちらを見ていただければと思いますが、代表の村田成二会長は、元経済産業省の事務次官のようです。

明治神宮といえば、先程も触れましたが、神社本庁がありますよね。確か森元総理は神社本庁と近い関係にあって、神宮再開発に関しては、明治神宮の協力も得やすいでしょうね。

地価が上がれば地権者は潤う。
理念よりも現実、思想よりも「お金」。

ちょっと言い過ぎですかね。

おなじみの建設会社が登場

確かここには日本青年館もあります。日本青年館も、国立競技場建て替えに伴い解体されて三代目「日本青年館」が誕生しています。請負業者は「安藤ハザマ」です。

秩父宮ラグビー場も、新秩父宮ラグビー場(仮称)に生まれ変わります。

建設地は明治神宮第二球場の解体跡地。新ラグビー場の整備は三井不動産らが東京都港、新宿の2区にまたがる「神宮外苑地区」で計画する個人施行の再開発事業と一体的に進める。総延べ58万平方メートルの施設群を整備する。2022年度にも施行認可を取得し工事に着手する見通し。全体工事の完了は2036年度を見込むとしています。
※参考:日刊建設工業新聞 » JSC/新秩父宮ラグビー場整備/ラグビー場棟の規模、延べ7・7万平米に(2021年7月26日配信)

国立競技場と言えば…大成建設。
都内最大級の有明アリーナと言えば…竹中工務店。
体操競技の「有明体操競技場」と言えば…清水建設。
水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター」といえば…大林組。
そして秩父宮ラグビー場と言えば…鹿島建設。

整備イメージによると、神宮球場第二球場の解体跡地に新ラグビー場I期棟を建設、続いて現ラグビー場を解体し、そこに新たな野球場と球場併設ホテルを建てるようです。その後、神宮球場を解体して新ラグビー場2期棟と広場を整備、2I期工事は2033年度の着工を想定しています。

建設通信新聞デジタル版日刊建設工業新聞に詳しく載っています。

東京都神宮外苑街づくりに関して、日刊建設工業新聞の記事です。

Next: 背負うのは次世代の若者たち。レガシーの名の下の「負債」

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