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ウクライナの敗色濃厚?欧米メディアは掌返し、日本では報道されない本当の戦況とロシアの勝利条件=高島康司

ウクライナ軍が敗退している実態について解説したい。日本ではほとんど報道されない事実だ。「ニューヨークタイムス」や「ワシントンポスト」のような大手主要紙もウクライナの軍事的な勝利が困難だとの記事を書くようになっている。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

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敗退するウクライナ軍

ロシア軍はウクライナ東部で攻勢に出ている。6月1日、東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクの当局は、「市の約70%をロシア軍が掌握した」と明らかにした。同市はルガンスク州の最後の拠点とされ、ウクライナ軍は劣勢に立たされている。市街戦も起きており、民間人の退避が難しくなっているもようだ。

ロシアはルガンスク州と東部ドネツク州を合わせたドンバス地方の制圧に戦力を集中させている。31日、ロシアの「タス通信」は、親ロシア派勢力トップが「現在の主な目標はセベロドネツクと隣接するリシチャンスクの解放だ」と語ったと報じた。両市が制圧されれば、ルガンスク州全域がロシア軍の支配下となる。

また、ロシアが全域を掌握したと主張して支配の既成事実化を進める南部ヘルソン州について、アメリカのシンクタンクは、ウクライナ軍がヘルソン州とミコライウ州の州境の近くで限定的に反撃に成功したと分析している。

31日、イギリス国防省は、「ロシア軍が狭い地域に兵力と砲撃を集中させることで、作戦初期よりも大きな局所的成功を収めた」とする分析を公表した。一方で、ロシアがルガンスクとドネツク両州を占領するには「ドネツク州の都市、クラマトルスクや幹線道路などで、さらに困難な作戦目標を実行する必要がある」とも指摘した。

一方、戦況を細かく分析している複数の軍事アナリストは、イギリス国防省の分析よりも、戦況は明らかにロシア軍に有利に展開しているとしている。

ロシアが早期に掌握した南部のヘルソン州では、ウクライナ軍は領土の一部奪還を試みて反撃したが、ロシア軍の反撃に会い成功しなかった。これは東北部のハリキューでも同じだ。欧米のメディアではウクライナ軍による反撃と奪還が報じられているが、現実はそうではないようだ。ロシア軍はハリキューを以前として占拠している。

さらに東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクだが、ロシア軍の掌握が進んでおり、ここを守っていたウクライナ軍は敗走している。敗走するウクライナ軍をロシア軍が攻撃しているもようだ。また、ルガンスクのリーマンがロシア軍に陥落した。この都市は、さらに西にあるスリャビアンスクとクロマトロスクという人口密集地に向かう中継地点にある。ロシア軍はここを拠点にこの2つの都市の攻略を行うようだ。

ウクライナ兵の状況

日本を含む欧米の主要メディアでは依然としてウクライナ軍の反撃に期待をして、最終的にはウクライナの勝利に終わるとの期待感が強いようだが、ウクライナ軍の現場の兵士の状況を見ると、とてもそのような期待を持てる情勢ではないことが分かる。

5月26日、アメリカの大手紙、「ワシントンポスト」は「東部のウクライナ義勇軍は見捨てられたと感じる」という題名の衝撃的な記事を掲載した。記者が東部ドンバスの前線に赴き、ウクライナ軍兵士を取材した非常に長い記事だ。この記事には、ウクライナ軍兵士の悲惨な状況が描かれている。

取材したのは、東部ルガンスクの最前線で戦っている民間民兵組織、「領土防衛隊」の一部隊だ。「領土防衛隊」は、ロシア軍の侵攻後に発足した。彼らは、東部の重要な前線でロシア軍が大砲やグラッドロケットで攻撃するなか、塹壕の中に閉じこもり、一日一個のジャガイモで生活しているという。そして、多勢に無勢、訓練も受けておらず、軽火器しか持っていないウクライナ軍は、砲撃が終わること、そして自分たちの戦車がロシア軍を標的にするのをやめることを祈っているという。

取材した部隊の中隊長によると、「ロシア軍はすでに我々の居場所を知っていて、ウクライナの戦車が我々の側から撃ってくると、我々の位置がバレてしまう。そして、銃や迫撃砲など、あらゆる武器で反撃してくる。生き残るために祈るしかない」という。3カ月前には120人ほどいたこの中隊は、死傷者や脱走者のために54人にまで減少している。

中隊の隊員の一人は、「指揮官は何の責任も取らず、手柄を立てるだけ。何の支援もないんだ。これ以上我慢できない」という。こう発言した兵士は、中隊のメンバーとともに前線から離脱して地元のホテルに引きこもった。そこで彼らは、軍法会議と軍事刑務所に入る可能性があることを承知の上で、「ワシントンポスト」の取材に応じた。

彼らによれば、ここ数週間、状況はさらに悪化しているという。砲撃で2日間も補給路が絶たれたとき、彼らは1日1個のジャガイモでやりくりすることを余儀なくされた。そして、昼夜を問わず、森に掘られた塹壕や、廃屋の地下室で過ごしている。「水もない、何もない」という。一日おきに自分が運んでくる水だけしかない。

また、装備も貧弱だし、訓練も十分ではない。ライフルと手りゅう弾のほか、与えられた武器は、装備の整ったロシア軍に対抗するためのロケット弾一握りだけである。そして、そのロケット弾の使い方は誰も教えてくれなかったという。

一方ロシア軍は、戦車、歩兵戦闘車、グラッドロケットなどの大砲を配備している。地上部隊や歩兵車両で森に侵入しようとすれば、簡単に「殺せる」距離まで近づくことができるという。そして、「重火器が相手だと、何もできない」とこの兵士は言った。

Next: 「我々には確実な死が待っている」ウクライナ軍小隊のメッセージ

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