素人管理では物件が荒廃していく
俣野:物件自体に問題はなかったのですね。
丸山:はい。ことの発端は、親から物件を相続した2代目オーナー様が、管理会社に支払う管理費を惜しんで自主管理に切り替えたことでした。不動産のことを知らない素人管理では、当然、手に余ります。
行き届かない管理は物件の魅力低下につながり、空室となって跳ね返ってきます。人が入らなければ家賃も入ってこないことから、入居審査が甘くなり、他では審査に通らないような人が集まってくるようになったのです。
俣野:それで、夜逃げが相次いだわけですね。
丸山:他にも不法投棄だったり、駐車場に盗難車が何台も停められていたりと、かなり荒れていました。オーナー様とは、何度も協議を重ねましたが、結局、成立には至りませんでした。
俣野:「家賃が入ってくればいい」と、入居者のエントリーチェックを怠ってしまうと、結局は収益性として成り立たなくなる、ということですね。
丸山:不動産物件は、管理が命とも言われています。ここをきちんとしているかどうかで、物件の劣化スピードも変わってきます。
不動産投資を検討される方は、ぜひ肝に銘じていただければと思います。
事例2:1DKに8人が同居!? 実際にあった“タコ部屋物件”
俣野:続いては関東地方の事例ですね。「1DK30平方mに外国人8人が同居」とありますが。
丸山:以前、「一棟8室木造アパートを売却したい」との依頼を受けた時のことです。「管理を任せていた不動産会社が倒産してしまい、入居者情報が全くわからない」というので、現地調査をしてみると、狭い一室の中で、東南アジア系の若い男性8人が寝泊まりしていた現場に遭遇しました。
俣野:普通は、オーナーが契約書を持っているはずですよね?
丸山:はい。不動産会社もコピーを控えとして持っているはずですが、かなりずさんで、倒産後は連絡も取れない状態になっていました。
物件を売却するにしても、入居者情報が必要になってきますので、やむなく弊社が一軒一軒部屋を訪ねて、入居者から契約書のコピーをいただいたり、中には契約書を取り交わしていない住人もいましたので、契約を取り交わしたりするところから始めました。
俣野:契約を取り交わしていない?だったら、中抜きされていた可能性もありますね。
丸山:この物件ではありませんが、以前、別のオーナー様から「部屋が埋まらない」と相談を受けて現地に行ってみると、すでに入居者がいて、家賃を管理会社が着服していた、といった事例もありました。
俣野:その8人同居はどうなったのでしょうか。