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また利権か。岸田政権が原発再稼働に方針転換したワケ。日本の持病「電力不足」は完治するのか?=原彰宏

次世代型原発とは何か

こんな直近の電力不足を補うには今あるリソースを使わざるをえない、そこで常に問われているのが、「“今ある”原発施設再稼働」です。

冬場の電力不足は夏場よりも厳しい状況が予想される中で、岸田首相は、これまで再稼働にこぎつけた原子力発電所10基に加え、来夏以降に7基の再稼働を目指すと表明したのです。

原発の安全性もわかるが熱中症で死ぬリスクもある…。

目の前の電力不足が何よりも優先され、原発事故による教訓もありながら、「原発再稼働やむなし」という動きがあるのも確かです。

原発再稼働に変わる電力供給源はあるのか……これに真正面から答えられない限り、電力不足解消のために原発再稼働は必要とする主張には対抗できないかもしれませんね。

ただ今回の岸田首相の発言は、「原発再稼働の是非」を問いながらその回答を得ぬうちに「新築新増設・建て替え」にまで踏み込んできたのです。

数の目標を掲げた。これまで「想定していない」としていた新増設についても方針転換。その環境なり安全性に配慮した「次世代型原発」を採用するという表明に、日本中がざわめいたのです。

「次世代型」なら原発増設でもかまわないのか?そもそも「次世代型原発」ってなに?

堂々巡りとも思える議論になっていますが、この議論に終止符を打つには、原発に変わる電源を早急に示すことが必要だということです。

原発再稼働を推進する側の意見は、「電力不足早期解決 → 既存施設の活用 → 原発再稼働」と自然な論理の流れのようには見えますが、果たしてこれで良いのでしょうか。

これしか「答え」はないのでしょうか…。

目の前の電力不足はどうする?議論されている“今ある”原発施設の再稼働

一方で、再稼働反対の立場としては、やはり原発の安全性を訴えることはもちろんですが、廃炉計画が不十分なままで再稼働することの問題を指摘しています。

ここまで原発を停止してきたことで廃炉に向けて進めてきたカレンダーを、再稼働によって逆戻りさせるのではと危惧しているようです。

それはすごく理解できますが、目の前の電力不足にどう対応するかの答えにはなっていないですね。東日本大震災から11年も経って、この間、再生可能エネルギーを育てるのに国は何をしてきたのか……そんな問いも頭に浮かびます。

送配電分離などの再生可能エネルギー普及の環境整備はどうしてきたのか、そんなことも疑問に思います。

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