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円安に対抗するならスイスフランがベスト。直前に迫った米国ドルの基軸通貨からの陥落=吉田繁治

円安から避難するならスイスフラン

長期的には、円安からのドルへの避難より、経常収支が構造的な黒字のスイスフランが推奨できます(GDP比6.3%という大きな黒字:2022年)。

スイスフランの金利は、インフレ対応の0.5%の利上げ後も、マイナス0.25%と、日本より低い。金利の逆に、預金手数料を徴収されます。ところが世界の富裕者マネーはスイスフランに集まっています。

ロシア・中国からも、スイスフラン買いが多い。他方、日本からのスイスフラン買いは少ない(ゼロに近い)。分散投資されるべき金融資産(預金)のポートフォリオでは、日本人は円に集中しすぎです。世界市民として、円建て50%、外貨建て50%でなければならない。

スイスフランが長期的に強い原因は、スイスの経常収支(所得収支+貿易収支)の黒字が続くことです。物価は、世界1高い。スーパー(ミグロ)で、少しの食品を買っても1万円を超えます。世帯所得も世界1(平均世帯年収1400万円:日本は552万円(中央値は437万円):2018年)。

日本は、今後、GDPで一回り大きなスイスを、目指さねばならない。技術資源と高い品質への価値観は残っています。残念ですが、MMTにより約10年、信用通貨の隘路に嵌まっていました。

米国政府・FRBは、日本の銀行にドル国債、債券、株を買わせるために、円安になる日銀のMMTを推奨してきたのです。2011年以降は円安になると輸出は増えず、ドル買いが増えるからです。

経常収支の赤字が約1兆ドルのドルが、なぜ高いのか?

経常収支が構造的に赤字のドルは、海外からのファイナンス(=ドル買い)が必要な通貨です。米国にとって、円安にしてドル買いを促すMMT(国債のマネタイゼーション)は、最適な通貨政策でした。
(注)MMTには増発した通貨のレートが下がる外為論(ソロスチャート)が欠落しています。

経常収支の黒字(2,497億ドル=35兆円:2022年)が、中国(2,133億ドル)より大きくても、ドイツは、ドル国債買いはしません。ドルは、赤字国の通貨であり、いずれは暴落する時期が来ると知っているからです。

海外からの買いによって、米ドルのレートが支えられています。海外からの買いがなくなって、FRB が放置すれば米ドルは8,778億ドル(125兆円:2022年)の赤字である経常収支がバランスするまで、下がります(輸出価格低下で資源が輸出増になるまで)。

2012年からドル高になっているのは、経常収支の赤字以上の、海外からのドル買いの超過(国債、債券、株の買い)があるからです。国で言えば、中国、日本、産油国、ユーロのドル買いです。

1970年から50年間、騰落を繰り返して下がって来たドルの実効レートのグラフパターンから、2024年からのドル安が予想できます。以下のグリーンのグラフが、ドルの実効レート:平均12年で、ピークアウトしています。
※参考:実効為替レートの推移(日本・米国・ユーロ圏・中国)- 社会実情データ図録

米国を破産させるのに、核兵器は要らない。金融戦争として世界がドル買いをやめ、手持ちのドル国債、債券、株を売ればいい。

米国の軍事費(財政支出で8,000億ドル:113兆円=日本の一般会計(110兆円)と同じ金額)は、海外がファイナンスしているのです。

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