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リニア阻止のため“越県行為”の川勝知事に地元民からも呆れる声。静岡空港駅新設の落とし所もJR東海が難色で「27年開業」はいよいよ望み薄に

リニア中央新幹線の工事を巡って静岡県が、山梨工区で進むトンネル工事について「県境に達する前に止める必要がある」と主張した文書を、今月13日にJR東海に提出したことが、大きな波紋を呼んでいるようだ。

報道によれば静岡県が提出した文書は、山梨県内の工事によって静岡県の水が流出する恐れがあるといった内容だが、県外の工事計画にまで関与しようとする静岡県の姿勢に対し、山梨県の長崎幸太郎知事は17日の記者会見で「山梨県に一言の連絡もなく、遺憾以外のなにものでもない」と発言するなど、怒り心頭のようだ。

JR東海の金子社長が今月20日に行った記者会見によると、現在山梨工区は静岡との県境から約1キロ付近で掘削工事を行っているといい、トンネルから流れる水はほとんどない状態だという。

SNS上で噴出する“越県行為”との声

静岡工区が未着工のため、予定されていた27年の開業が危ぶまれているリニア中央新幹線。

静岡県自体は「27年開業を目指す」として、リニア建設促進期成同盟会には加盟をしているものの、川勝平太静岡県知事は今回の山梨工区の件以外にも、今月9月には神奈川県相模原市内に建設予定の車両基地の整備が遅れていることを挙げ、「神奈川県が27年開業を不可能にした」と批判するなど、ここに来て沿線の他自治体に因縁を付けまくっているといった状況。

それだけにSNS上からは「これぞまさしく越県行為」との声があがるなど、リニア遅れの元凶だとして、他県などから大いに批判を集めているところだ。

川勝知事がリニア着工に否定的なスタンスを取るのは、工事によって静岡県内を流れる大井川の水資源に影響が生じることが懸念される、というのが主な理由。流域人口は60万人以上ともいわれる大井川の水量が保たれるかどうかは、静岡県民にとって死活問題だというのだ。

実際、静岡県においては、大正~昭和初期にかけて行われた東海道本線・丹那トンネルの工事時に、芦ノ湖3杯分という大量のトンネル湧水が発生したことが。

当時の周辺地域は、豊富な湧水を生かした山葵栽培や稲作が盛んだったのだが、これによって極度の水不足に陥り、結局は酪農などへの転換を強いられることに。それだけに静岡県民にとって、トンネル工事による水問題発生の恐れというのは、一定の説得力がある理由付けとなっているようだ。

県民からも「伝わってこない」との批判が

ただそのいっぽうで、ここまで川勝知事が“反リニア”に固執するのには、静岡県が長年に渡りJR東海から虐げられていることも、ひとつの原因だとする見方も根強いところ。

具体的に取沙汰されているのが、東海道新幹線の「のぞみ」が静岡県内の駅には一切止まらないという件。2002年には、当時の静岡県知事が県議会で「『のぞみ号』に対して通行税を取る」と発言し大いに物議を醸すなど、このことは静岡県民が長年に渡って抱えている不満のようなのだが、JR東海側は新幹線の高速性が損なわれる等の理由で、そんな県民の望みに応じてこなかったという経緯がある。

ましてや今後予定されているリニア中央新幹線に関しても、山中奥深くを通過するだけの静岡県には、駅は設置されず。そんなJR東海側の静岡県への“冷遇”ぶりが、川勝知事の姿勢を頑なにさせている……という見方なのだが、とはいえリニアが開通すれば、現在の東海道新幹線の「のぞみ」が廃止となる公算が高く、その代わりに静岡県内の駅に止まる「ひかり」の本数がかなり増えるという見通しもあるなど、リニア開通で静岡県も少なからず恩恵を得るのは間違いないところ。

にもかかわらず、あたかもリニア開業を遅らせるような動きや言動に終始する、このところの川勝知事に対しては「何の利権を主張してるのか伝わってこない」「わざと事態を悪化させてるんじゃないか」といった声があがるなど、県民からもその意図が読み取れないといった呆れ交じりの見方も多く出ているようだ。

「静岡空港駅」新設案もJR東海が難色

そんななか、ここに来て山梨県の長崎幸太郎知事からは、東海道新幹線に「静岡空港駅」を新設する議論を、リニア建設促進期成同盟会で進めたいとの意向が示されたとの報道も。

静岡駅と掛川駅の間に位置し、滑走路の真下を新幹線が通っている富士山静岡空港だが、開港以降は長らく赤字が続いており、同空港の利便性を高めるための新駅設置は、静岡県側からも以前から上がっていた話。

いっぽうで、いい加減早くリニアを通したい他の沿線自治体からすれば、この新駅設置をいわゆる“落とし所”としてもらい、静岡県や川勝知事にはリニア着工の“邪魔”を止めてもらいたいといったところだが、JR東海側としては新駅を設置すれば駅間の距離が短くなり、スピードやダイヤ構成の問題で難しいということで、このプランに難色を示しているという。

SNS上などからは、川勝氏が県知事から退けばすべては解決……といった声も少なくないのだが、いかんせん川勝知事は21年6月に4選を果たしたばかりで、任期は25年まで残っている状況。

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川勝県政は当分続きそうで、さらにそんな川勝知事が拳を下ろすような落としどころも見出せずということで、当初目指していた「27年開業」はいよいよ望み薄といった状況に陥りつつあるようだ。

Next: 「リニア実現のためにJR東海が用意できそうなカード」

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