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宗教とズブズブの自公政権で成立「旧統一教会被害者救済法」は救いになるか?共産党・れいわが最後まで反対した理由=原彰宏

法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律~“法人等”の意味と与野党対立

いわゆる「旧統一教会被害者救済措置法」の正式名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」になります。

この「法人等」という表現により、この法律の対象者を宗教法人に絞らず、教会の関係団体と思われる一般法人にも適用するようになっています。

社会問題となっている寄附行為は、教団が直接ではなく、関係する一般法人経由のものが多いとされていて、広く網を掛けるためにも「法人等」の文言には意味があると思われます。

法案を読み解く際には、団体の存在そのものを否定するのではなく、その団体が行う「行為」を規制するものであることに、注目しておきましょう。

「法人等」の表現になった意義を述べましたが、ごく一般の法人が寄附を受けることは想像し難いですが、その解釈として「政治団体」も含まれることを押さえておきたいと思います。

被害者を救済する目的とは言え、与野党で法律制定に際して意見が分かれるというのは、この法律をめぐる立場の違いによる温度差があるのでしょうか、それを報道では、与党側が創価学会を背景にした公明党と連立を組んでいるからだと指摘していますね。

その報道の指摘からすれば、自民党側には、創価学会を意識して、宗教法人を想定した寄附行為を強く規制することへの抵抗がうかがえるというものでしょうか。

条文の宗教法人への「行為の規制」の力の入れようが、与野党のせめぎあいだったのかもしれません。

そこには条文にある「配慮義務」と「禁止行為」の扱いに表れていると思われます。

条文には「配慮義務」と「禁止行為」と分けて記載されていますが、一貫して野党側は「配慮義務」を「禁止行為」に組み込むべきだと主張していて、最後まで与党は「配慮義務」にこだわっていました。

「配慮義務」と「禁止行為」については、後ほど詳しく取り上げますが、全国弁護士協同組合連合会(全弁連)は、「配慮義務」ではなく「禁止行為」にすべきだと主張していました。立憲民主党も、寄付の勧誘を行う法人などに課すとしている配慮義務を禁止行為とするよう法案の修正を求めていました。

これに対し岸田総理大臣は、「“マインドコントロール”による寄付」については、多くの場合、取消権の対象となるとして、「禁止行為」ではなく「配慮義務」にとどめておくべきだと述べています。

不当な勧誘による「寄付」をどれくらい規制するか

寄付に対する行為をどれだけの強さで規制するのか……与野党の立場で温度差を感じるところではありますが、議会内勢力で圧倒的な差がある与野党間ですから、野党側は、法案成立を優先させるためには、ある程度の妥協は致し方がない状況なのでしょう。

結局はその妥協点として、報道にもある通り、「配慮する」行為を「“十分に”配慮する」という“十分に”という文言を付け足すことになりました。

「配慮」するのは法人側で、通常の“配慮”なら、単に面倒を見ればよいという軽いものになりがちですが「十分な」と付いたことで、法的には配慮内容が重くなった形にはなります。

法案設定としてこれで「十分」かどうかは、まだまだ継続して検討していくべきでしょうが、「十分な」という言葉が付いただけで、配慮する内容に重みを増したとは言えるようです。

そういう意味では、今後の検討会で「配慮義務」を「禁止行為」に組みまえることも議論することが求められますし、その見直し期間を与党3年を野党が主張する2年に短縮したことは大きいといえます。

2年後の検討だと、この条文の効力を、少なくとも1年で見定めなければならなくなるからです。

Next: 教団側に厳しい答弁も。もう旧統一教会は今までのように活動できない?

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