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人生で一番大切なものは何か。医学博士が「一度、死んでみる」体験で見た最高の最期、残りの人生を豊かに生きる術=俣野成敏

誰にでもやってくる「死」に対して、私たちはどう向き合えばよいのでしょうか?元気なうちから意識することで、自分の人生のなかで本当に大事にすべきことが見えてくると言います。今回は過酷な医療現場で多くの患者と接してきた医学博士・総合内科専門医の鈴木嘉洋先生に、体験談を交えながらお話を伺いました。( 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 )※この記事は音声でもお聞きいただけます。

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※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2023年1月15日号の一部抜粋です。続編にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年独立。フランチャイズオーナーや投資家として活動。サラリーマン時代に副業で出版した『プロフェッショナルサラリーマン』でビジネス書作家デビュー。「仕事術」「お金」「コンディション」「副業」などテーマは多岐にわたり、異分野で10万部超えを3度達成。著者累計は49万部。これからは、サラリーマンでも副業やお金の知識向上が不可欠と実感し、啓蒙に尽力している。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を7年連続受賞。

誰にでも訪れる「死」

こんにちは、俣野成敏です。今回は「アンチエイジング:はじめに死と向き合ってみよう」特集をお送りします。

おそらく、これをお読みのあなたも、忙しい毎日を送っていることと思います。でも、その合間に、ふと徐々に迫ってくる老いや死のことを考えたことはないでしょうか。

元気なうちは、まるで自分には関係ないのではないかとも思える死ですが、実際は、いつやってきても不思議ではないのです。

今回は、スペシャルゲストをお呼びしております。医学博士にして総合内科専門医の鈴木嘉洋先生です。鈴木先生はこれまで、過酷な医療現場で多くの患者様と接してこられました。

私たち自身、刻一刻と近づきつつある死と、どのように向き合えばいいのでしょうか。鈴木先生の体験談も交えながら、考えてみたいと思います。

プロフィール:鈴木 嘉洋(すずき よしひろ)
医学博士。呼吸器内科専門医・指導医、総合内科専門医。愛知県刈谷市出身。臨床研修医を経て、呼吸器内科医として総合病院に勤務。途中、名古屋大学大学院にて研究にも携わり、博士号取得。肺がん、肺炎、喘息、COPD、新型コロナウイルス対策など多岐にわたる呼吸器疾患の診療にあたり、その中で肺癌症例や、高齢者について数百人の看取りを経験。総合病院にて科をまとめる職務を担いながら、病気になった人に薬を出すだけの現代医療に対して疑問を抱く。「健康な人が病気にならないためのアプローチをすることが、医療の本来の役割である」という信念のもと、現在の医療体制に限界を感じ、2022年に総合病院を退職。2023年春に開業予定の再生医療医院・サーチュインクリニックの院長に着任。患者様の豊かな人生を支える礎となるべく、クリニック開業に向けて準備を進めている。

※本記事は、鈴木先生への取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。

否認、怒り、取引、抑うつ、受容…「死の受け入れ」に5段階

俣野:鈴木先生は、これまで呼吸器疾患の専門医として、数百人に及ぶ患者様を看取ってこられたそうですね。

鈴木:ここ2〜3年は、新型コロナウイルスの流行で一躍脚光を浴びた呼吸器内科ですが、通常、高齢の患者様の大部分が肺ガンを患って来院されます。

患者様が不調を感じてやってくる頃には、ガンの症状が進んでいることが多く、たいていの場合、診断をつけたと同時に余命宣告をせざるを得ない状態です。

俣野:それは過酷ですね。

鈴木:ガン患者の特徴として、初回に来院した時は比較的元気な方が多いです。しかしStage4という段階の患者さんの場合、「初めまして」から1年ほどすると、最期を看取ることになる方が少なくありません。

俣野:元気な方が、わずか1年後には最期を迎えるというのは、ご本人も受け入れ難いのではないでしょうか。

鈴木:それについては、キュブラー・ロスによる “死の受け入れ5段階モデル”というのがあります。順番に「否認、怒り、取引、抑うつ、受容」という5段階です。

納得して亡くなっていく方はほとんどいない?

鈴木:患者様が余命宣告を受けると、最初に示す反応は“否認”です。「いや、そんなのは嘘だ」「医者の診断なんて認めない」というものです。

次に示すのが“怒り”。「なぜオレだけが」「おかしいじゃないか」と、怒りが込み上げてきます。

その次に示す反応が“取引”。「どこかにまだ生き残る手段があるのではないか」「セカンドオピニオンを探そう」といった、他の選択肢を探ることです。

しかし助かる方法がないと知ると、“抑うつ”状態になります。「もう駄目だ」「オレの人生も終わりだ」という調子でやる気がなくなりますが、最終的には“受容”、つまり現実を受け入れます。

迫り来る死を受け入れると、逆に人は、何気ない日常がキラキラ輝いて見えるようになる、と言います。健常者からすれば、何でもない木々のゆらめきも、死の宣告を受けた人にとっては、緑が風にたなびいて、サラサラと葉のこすれる音など、より一層はかなく、美しく見えてくるというのです。

俣野:本来は、生きていること自体が奇跡とも言えますからね。

鈴木:しかし、残念ながら素直に受け入れて、納得して亡くなっていく方はほとんどいないのが現状です。

Next: 自分の宝物に気づく「一度、死んでみる」というワークショップ

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