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電動キックボード、欧米とは逆行の“規制緩和”に「誰が潤う?」と訝しむ視線。今後“ほぼ自転車”の扱いも自転車感覚で乗ると転倒必至と案ずる声も

都市部を中心に利用が広がっている電動キックボードに関して、警察庁が今年7月1日から適用すると公表した新ルールに対し、SNS上で異論の声が渦巻いているようだ。

報道によれば新ルールでは、最高時速20キロで歩道通行時は最高6キロに切り替えてランプを点滅させるなどの基準に適合すれば、運転免許は不要でヘルメットは任意となるとのこと。ただし、16歳未満は運転できず、交通違反をすれば刑事処分や交通反則通告制度(青切符)の対象に。また、信号無視や酒気帯び運転など一定の違反を3年以内に2回以上繰り返した運転者は、講習が義務付けられるという。

電動キックボードは現在、原動機付き自転車に分類され、免許やヘルメットが必要だが、特例措置が認められたシェアリング事業者を利用する場合はヘルメットが任意となっている。しかし7月以降は特例が廃止され、新ルールに一本化されるとのことだ。

フランスなど欧米では規制強化の動きも

最高時速20キロという、電動キックボードのなかでも比較的低速なタイプに限られるとはいえ、16歳以上なら運転免許は不要でヘルメットは任意という、ほぼ自転車の扱いになるという今回の新ルール。

もっとも自転車に関しては、今年4月からはヘルメットの着用が“努力義務”になるという規制強化が予定されており、そのことを考えればそれよりも緩くなるといった見方もできそうである。

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欧米などでは手軽な移動手段として、かなり以前から利用が急拡大しているとされ、日本ではそれより遅れて流行しだしたと言われている電動キックボード。

しかし、例えばフランスでは、それ絡みの事故の増加や不適切な駐輪がかねてから問題視されており、パリ市長が電動キックボードのシェアリングサービスを市内で受け入れ続けるか否かを問う住民投票を行う方針を表明。それに対して同国の交通相も、全国レベルでの規制強化に取り組む考えを示すなど、海外では電動キックボードへの規制を見直す動きも出ているようだ。

にもかかわらず日本においては、そもそも道交法絡みのアップデートは遅いといった印象もあるなかで、こと電動キックボードに関する規制だけは、なぜか今回の件も含めてどんどんと緩くなっているといった状況。

SNS上では、そんなある意味での“逆転現象”に対して、「不思議な感じ」「どこかが絶対旨味を得てるとしか思えない」「どういう利権が動いてるんだ」などと、以前から少なからずあった訝しむ見方が、ここに来て一気に噴出しているところだ。

段差にはめっぽう弱い電動キックボード

先述のフランス以外でも、イギリスにおいては電動キックボード利用による死傷者数が1年で900%増加したというもあるなど、その安全面での問題も取沙汰されることが多い電動キックボード。

日本においても昨年9月に、酒に酔った男が駐車場内で電動キックボードを運転していたところ、方向転換の際に車止めにぶつかってしまい転倒。頭を強く打って、搬送先の病院で死亡が確認されるという痛ましい事故が発生している。

電動キックボードとしては低速なタイプゆえに、免許不要&ヘルメット任意という自転車と同程度の気軽さで乗れるようになった今回の新ルールなのだが、とはいえその危険性は「電動キックボードのほうが数段上なのでは?」といった見方は多いところ。

その決定的な理由として挙げられるのが、やはり両者の車輪の大小差。一般的な自転車と比べても電動キックボードのものはあまりにも小さいだけに、わずかな段差でも転倒する恐れが高く、しかも自転車のように側面へ倒れるのではなく、縦回転でコケるケースもままあるため、余計に危ないというのだ。実際、先に取り上げた国内における死亡例も、駐車場の車止めという“段差”にぶつかって転倒したというものだ。

今回の新ルールでは先述した通り、基本走行できるのは「車道」と定められているが、時速6キロ以下であれば「歩道」も走行可能になる。街中を走っている自転車であれば車道から歩道へ、あるいはその逆といった走り方は当たり前のように見かけるが、それと同じことを電動キックボードでやると、自転車では気にならなかった車道と歩道の段差で転倒といったことも、正直かなり起きてしまいそうなのだ。

国や政府の思惑がどこにあるのかは定かではないものの、今回の新ルールによって、今まで以上に注目度がアップし、利用しようと考える人が増えるのはほぼ確実といった電動キックボード。その反面で、今までの自転車と同じ感覚で気軽に乗ってみた利用者による事故の激増も、このままでは大いに考えられるところで、SNS上ではそれを案ずる声が多くあがっているといった状況だ。

Next: 「電動キックボードの安全性を高めるために…」

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