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来春から自転車ヘルメット着用“努力義務”も電動キックボードは依然ノーヘルOK?異様な規制の緩さを訝しむ声が噴出

来年4月から自転車に乗る際に、ヘルメット着用が“努力義務”として課されることが決まったことが、大きな波紋を呼んでいるようだ。

報道によれば、改正道路交通法の施行期日に関する政令が20日に閣議決定され、そこで決まったもの。すでに13歳未満の子どもについては、保護者に着用させる努力義務が課せられているが、その対象が全ての自転車利用者に拡大する格好だ。

警察庁によると、17~21年に自転車乗車中の事故で亡くなった2145人のうち、約6割の1,237人は頭部に致命傷を負っていたといい、死傷者数に占める死者の割合を示す「致死率」は、着用者が0.26%だったのに対し、未着用者は約2.2倍の0.59%だったという。

努力義務とはいえノーヘルだと事故時に不利に?

自転車乗用中の交通事故件数は年々減っている傾向であるとはいえ、それでも交通事故件数の全体に占める割合は約2割程度と、依然として高い水準を保っている状況

仮に自転車で事故を起こした、あるいは巻き込まれたといった際に、上記のようにヘルメット着用の有無で致命傷となる可能性を抑えられるとなれば、自転車利用者はこぞって着用すべきといったところだが、とはいえ田舎の中学生の登下校じゃあるまいし……といった、いい大人がかぶるのはカッコ悪いし大袈裟では……といったイメージもあるのも確か。

さらに、最近では折り畳みができるものもあるなど、軽量・コンパクト化が進むヘルメットだとはいえ、例えば買い物などで自転車に乗る度に持ち歩くのは邪魔だという意見も。かといって、自転車のかごなどに入れておくのも盗難の恐れがあったりと、何かと手に余りそうだという声も多いようだ。

このように、ヘルメット着用の重要性は分かるものの実際には……といった見方、さらには義務ではなくあくまで“努力義務”ということであれば、普及はあまり進まないのでは、といった推測も少なくないのだが、そのいっぽうで浮上しているのが、ヘルメットを着用しない状態で仮に事故に遭ってしまった場合、保険関係に影響するのではないかという推測だ。

要は、自転車側の過失があまりないようなケースでも、ヘルメット非着用なら“努力義務を怠った”として咎められ、色々と不利になるといった事態も発生しかねないというもの。実際、どうなるのかは施行してみないと分からない面もあるのだが、そういった可能性も考慮すれば、たとえ今回の義務化が“罰則のない努力義務”だとはいえ、今まで通りノーヘルで押し通すというのも、かなりリスクが高い行為と言えそうだ。

死亡事故も発生の電動キックボードは依然“ノーヘル上等”

いっぽうで、今回の自転車のヘルメット着用“義務化”を巡っては、取り締まるべきものの優先順位がめちゃくちゃ、といった声も。具体的には車道走行時の逆走やながらスマホやイヤホン、さらに自転車利用者も保険義務化すべしといった要望も多いようだ。

しかしながら、そんな声のなかでも目立つのが「電動キックボードこそ、より厳しく取り締まるべきでは?」という声だ。

近年、日本でも都市部を中心に乗っている人が爆発的に増えている感がある電動キックボードだが、その反面でドライバーなどからは、その危険走行を訴える声が続出している状況。現に今年9月には東京都内で、電動キックボードが絡むものとしては初となる死亡事故が発生したのだが、亡くなった50代男性は飲酒していたうえにノーヘルだったという。

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電動キックボードのなかでも、速度が出るタイプのものは原付や自動二輪と同じ扱いとされ、ヘルメット着用は義務付けされているが、いっぽうで最近街中でよく見かけるような、国の認可を受けた事業者が実証実験としてレンタルをしているタイプに関しては、最高速度が15キロ以下ということで、現状ではヘルメットは不要となっている状況だ。

とはいえ、先の死亡事故が起きたのも時速15キロ以下のレンタルのものだったといい、その危険性は変わらないのが実際のところ。このため、今後は新たなルールとして、時速20キロ以下の電動キックボードを“特定小型原動機付自転車”と位置づけ、ヘルメット着用を努力義務とする動きがあるようなのだが、実際の施行は再来年以降になりそうな公算。逆にいえば、それまでノーヘルの電動キックボードが街中を跋扈する状況が続きそうだというのだ。

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その危険性がかねがね指摘されるなか、その普及の障壁となるようなヘルメット着用などの規制を極力遅らせてまで、政府が何故かしきりに普及させたがっている電動キックボードに関しては、「何かの利権絡みではないか」といった憶測もチラホラあがっているところ。来年4月以降は「自転車はヘルメット着用が努力義務だけど、電動キックボードはノーヘルOK」という、ある種のねじれ状態が具現化しそうで、となれば電動キックボードを巡る規制の異様なゆるさぶりがさらに際立つ格好となりそうだ。

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