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吉野家、一部店舗の休業に広がる波紋。松屋の券売機が「最悪のUI」で客離れの反面「人のぬくもり」重視の吉野家は人手不足という皮肉な状況に

24時間営業を行っているところも多い牛丼チェーンの吉野家の一部店舗が、この長期連休のタイミングで一時休業となっていることが判明し、大きな反響を呼んでいるようだ。

SNS上の投稿によれば、休業となってるのは新宿など都心の複数店舗のようで、店頭には「人員不足の為休業します」との張り紙が。また他の店舗では、5月いっぱいを8~17時の時短営業にする旨の張り紙が掲示されているところもあるようだ。

一部メディアの報道によれば、休業の理由は店舗改装、あるいは他店からの応援も含めたシフト調整の不調だということ。また、そもそもアルバイトの絶対数が足りていないなか、4月末からの長期連休の時期は例年、パートやバイトの休暇取得やシフト変更の依頼も多いことも影響した、などとコメントしているという。

時給高騰で勤務時間の“調整”が早期化?

ここ数年、大いに取沙汰されている外食産業における人手不足の問題。上記のSNS上にあがる画像を見てみるに、アルバイトへの時給は深夜帯だと1,500円~と、決して悪い条件ではなさそうなのだが、それでも人手不足で休業となることからも、問題の根深さが大いに感じられるところである。

このように、時給こそ上がっているものの人手不足は解消されるどころか、むしろ状況が悪化していることの“元凶”としてかねてから取沙汰されているのが、いわゆる「103万円の壁」の存在。

たとえアルバイトだとしても、年間の給与収入が103万円を超えれば、所得税を払う必要があり、さらに扶養対象でなくなるために、バイト学生の親、またはパート主婦の配偶者の納税額は増え、逆に世帯の手取りが減ってしまうケースが出てくる。

そのためバイトやパートは、年間の給与収入が103万円を超えないように計算しながら働いているというのは、昔からよく聞く話なのだが、昨今は以前と比べても時給が大いに上がっていることもあって、かなり早い段階から勤務時間の“調整”を考える人々が増えてきていることが、今回のような事態を招いたとも考えられるというのだ。

このように、バイトやパート一人当たりの勤務時間が減ることとなれば、店側としてもより多くの人出が必要となる。

ただ、特に都心の店舗において深夜帯などのシフトに従事することの多かった外国人留学生に関しても、コロナ禍における水際対策の緩和以降、帰国しやすくなったこともあってか、そういった人材の確保も難しくなっている模様。そのことが、先述のような夜間や深夜帯の営業休止という事態に繋がっている可能性もありそうだ。

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「券売機を置かないから」との声もあがるも…

いっぽうで今回の人手不足の問題に関しては、吉野家特有の原因として「券売機を導入していないから」といった見方、要は省人化の遅れが原因といった声もあがっているところ。

今や牛丼店に限らず、多くのチェーン店などで採用されている券売機、あるいは席ごとのタッチパネル端末での注文システムだが、吉野家では客と店員との“接客機会”を残して顧客満足度を高める……といった狙いで、あえて券売機を設置しない方針を取ってきたというのはよく知られた話。ただそれが、ここに至って仇となっているというのだ。

とはいえ牛丼店の券売機といえば、吉野家のライバルでもある松屋が導入を進めている新しい券売機が、とにかく分かりにくく苦情が殺到中とのこと。話によれば、UIがとにかくダメダメということで、「牛丼1杯と半熟玉子頼むだけで16回のボタン操作が必要」といったレポートもあり、外国人やご老人といった客のなかには注文を諦めて退店する人も多いという末期的状況だというのだ。

そういった意味では、店員が注文を取りに来てくれる吉野家の“人のぬくもり”が大いに評価される絶好の機会でもありそうなのだが、吉野家にはその肝心の“人”が足りていないという、なんともチグハグな状況になっているのが今の牛丼業界の状況のようだ。

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