fbpx

楽天モバイル、鳴り物入りの最強プランも「繋がらない」「バッテリーの減りが早い」の声。ローミング頼みの顧客満足度アップ戦略は早くも暗礁か

今月から新料金プラン「Rakuten最強プラン」をスタートさせた楽天モバイルだが、その評判はあまり芳しくないとSNS上で噂されているようだ。

一部メディアによれば、同じiPhoneで楽天モバイル回線とau回線のものを用意し、新宿周辺などの街中で繋がりやすさを比較してみたところ、楽天モバイル回線は表示上は5Gの電波をしっかり掴んでいるものの、特に下りが大きく劣るなど通信速度には大きな差があったようで、時に“パケ止まり”を起こすことも。また地下に入ると、楽天モバイルは圏外になることもあったとも報告されている。

いっぽうサービス開始日の6月1日には、楽天モバイルの公式アプリやサイト「my 楽天モバイル」などの一部サービスが利用しづらいという障害もあったとのこと。こちらは通話やデータ通信には影響しなかったようだが、ある意味でドタバタの滑り出しとなっていたようだ。

他社ギガ無制限プランと比べ約半額の価格設定

「楽天市場」や「楽天トラベル」といったインターネットサービス、さらに「楽天銀行」「楽天カード」などのフィンテック事業は軒並み好調にもかかわらず、モバイル事業が大きく足を引っ張り、巨額な赤字を垂れ流す結果となっている楽天グループ。

【関連】三木谷会長はいつまで「負け戦」楽天モバイルを続けるのか?楽天が生き残るための4つの道=栫井駿介

そんな楽天モバイルといえば昨年、契約者数の拡大にそれまで大きく寄与してきた「0円プラン」を廃止し、回収フェーズへの移行を試みたものの、そのことが大幅な契約者減を招く結果に。昨年末あたりからは楽天モバイルショップの大量閉店や社員のリストラ話、さらに残った社員には熾烈なノルマが課せられているといった、なんとも暗い話ばかりが浮上していたのも記憶に新しいところだ。

【関連】大量閉店&リストラと苦境の楽天モバイル、社員には「1人5回線契約」の熾烈ノルマ? 提携先・日本郵政の伝統芸“自爆営業”復活かとの見方も

このような危機的状況から脱するべく楽天モバイルがぶち上げたのが、今回取沙汰されている「Rakuten最強プラン」。

これまでのプランだと、ローミング協定を結んでいるau(KDDI)の回線を使っての高速通信が月間5GBまでに制限されており、それを超えると通信速度が1Mbpsに制限されていたのだが、この「Rakuten最強プラン」では月額3,278円でデータが使い放題に。これは他キャリアのギガ無制限プランと比べて約半額という、かなり魅力的な価格である。

また、KDDIとのローミングに関してはこの春に新たな協定を結んだことにより、東京都23区・名古屋市・大阪市を含む都市部の一部繁華街での通話も対象に含まれ、また地下鉄や地下街などといった楽天モバイルの弱点とされていたエリアも引き続きローミングでカバーされることに。既存ユーザーの間では、繋がりやすさという面でも改善がなされるのではといった期待の声が少なからずあがっていたのだ。

多額の設備投資を抑え顧客満足度向上の目論見も…

いっぽう楽天モバイルとしても、この新たなローミング協定の締結で、KDDIに支払う費用こそ増えるものの、これまで大赤字の元凶とされていた急ピッチな基地局建設で掛かる多額な設備投資額が、かなり抑制できるだろうとの目算があった模様。

KDDIとの新たなローミング協定を活用することで、価格面とともに繋がりやすさの満足感を向上させ、それと並行して無理のないペースで自前の基地局整備を進めていく……というのが、楽天モバイルの青写真だったようだ。

ところが、実際に蓋を開けてみれば、それまで弱点とされていた地下などを含め、繋がりにくいといった状況は相変わらずといった声が、SNS上でも多くみられる状況。さらに、常に楽天モバイル回線とau回線とを行ったり来たりで電波を探しに行くためか、スマホのバッテリーがすぐに減るといった報告までもあるようなのだ。

とはいえ、こういった事態になることも一部では大いに想定されていたようで、というのもKDDIから楽天モバイルに貸し出される周波数帯が、800MHz帯だけである点が大いに影響しているとのこと。

通常なら、街中など人が密集するような場所などでは800MHz帯以外の回線に繋がったり、複数の周波数帯を束ねて通信を行う「キャリアアグリゲーション」によって、安定した通信が可能となっているのだが、800MHz帯だけではそれらは望めず。利用が集中すれば、繋がりにくい状況になることは火を見るより明らか……といったところだったのだ。

このように“最強プラン”との呼び声に少しでも期待していたユーザーからすれば、ぬか喜びもいいところといったいっぽうで、楽天モバイルとしても赤字垂れ流しを極力抑えつつも顧客満足度をアップさせたいといった思惑が、大いに外れてしまうといった展開に。

結局のところ、真に通信品質を向上させていくためには、ローミング頼みではなく地道に自前の設備を整えていくしかないようなのだが、今回の新料金プランが契約者数の増加に繋がるかも不透明といったところで、そんななかで楽天モバイルはもとよりグループ全体の体力が今後持つかどうかも、いよいよ心配されるところである。

Next: 「今年の楽天打線があまり繋がらないのは…」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー