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撮り鉄、またも線路侵入で列車を緊急停止。自浄作用のない者らの相次ぐ迷惑行為に容赦ない賠償を求める声&警察も犯人特定にいよいよ本腰か

その迷惑行為の数々が度々取沙汰される鉄道写真マニア、いわゆる“撮り鉄”だが、今度は線路脇スレスレの場所で撮影するという危険行為で、列車を緊急停車させるというお騒がせを起こし、警察が捜査を始めるといった事態になっているようだ。

報道によると今月3日、栃木県矢板市のJR宇都宮線の敷地内に撮り鉄3人が立ち入り、至近距離からカメラを構えているのを、走行中の寝台列車「カシオペア」の運転士が発見し、列車を緊急停車させたとのこと。列車は安全確認を行った後に発車したため、14分の遅れが生じたという。

これに対し地元警察は、SNSで拡散された動画や防犯カメラなどを参考に、3人の特定や当時の状況などの捜査を進めているとのこと。警察は「悪質な鉄道写真撮影者を見たら通報を!」と呼びかけているという。

噴出する“損害賠償”を求める声

カシオペアといえば、上野~札幌駅間を結ぶ豪華寝台列車として知られていたが、ずいぶん前に定期運行が終了。現在は「カシオペア紀行」という名前で、不定期に運行しているようなのだが、そのいっぽうで客車をけん引している機関車の運用上の問題で、近い将来に廃止されるのでは……といったも、一部では囁かれているところ。

そういう事情もあってか、レア被写体として絶大な人気を誇っているというカシオペアなのだが、それだけにこのカシオペア絡みでの撮り鉄トラブルも高頻度で発生しており、最近だと22年12月に、カシオペアを撮影しようとした撮り鉄がJRの敷地内に侵入したうえに、撮影用の脚立を鉄橋のフェンスにロック錠で固定して放置するという出来事が。

運転士がそれに気づいて緊急停車するも、運転再開まで時間を要したため、上下線で4本が運休したほか運行の遅れも多く発生するなど、約1万3,000人の利用者に影響が出たという。

このように自らのベストショットのためなら、危険な行為やそれに伴って列車を止めることも厭わないというのが、撮り鉄の悪しき流儀というか習性といったところのようだが、その反面で今回の件では、敷地に入った3人が警笛を鳴らされるや一目散に逃走していることからも、悪事を働いているという意識が十分にあったのは明らかといったところ。

それだけに今回の件に関しては、鉄道会社が注意喚起や警告を発するに留まらず、地元の矢板署が立件に向けて捜査を進めているようで、具体的には列車往来危険罪や鉄道営業法違反などでの検挙を視野に入れているとのこと。往来危険罪といえば“線路への置き石”などに適用される罪だが、その刑事罰は2年以上の有期懲役と結構重い。

また刑事罰以外にも、今回の件では14分の遅れが発生したということで、JR東日本側から故意遅延による損害賠償を求められる可能性も考えられるところ。

この手の損害賠償といえば、例えば人身事故や客同士のトラブルなどで電車を止めた際に、賠償額の相場はいかほどになるのかといった話が毎度のように取沙汰されるが、遅延によって失われた運賃収入や他の事業者に支払う振替輸送費、さらに人身事故だと車両の修理費などで、実際の損害額が数千万円ないし数億円といった額にのぼったとしても、実際のところは請求したとしても数百万円程度にとどめるケースが多いとのこと。

ただ、撮り鉄らの迷惑行為に起因する遅延は今回に限った話ではないということで、世間の怒りはすでに頂点に達しており、SNS上では「一罰百戒」「民事でも遠慮なく損害賠償請求すればいい」といった、厳罰論が多く飛び交っている状況だ。

撮り鉄は警察の“通報”呼びかけに応じるのか?

いっぽう、今回の件で大いに物議を醸しているのが、警察が「悪質な鉄道写真撮影者を見たら通報を」と、広く呼び掛けているという点。撮り鉄らによる数々の迷惑行為を常日頃から苦々しく思っていた向きの間では、このことを“警察のお墨付き”だと捉え、今後は片っ端から警察に通報しようといった声が広がっているようだ。

ただ、人の多い都会の駅などでの話ならともかく、今回のような線路と田畑しかないようなスポットでの迷惑行為となると、その目撃者は同じ現場にいる同じく撮り鉄に限られそう。

となると、これまで散々迷惑行為などが批判されるも、その振る舞いがほとんど改善されることなく、同じような騒動を毎度のように繰り返している、撮り鉄界隈における自浄作用の無さを考慮すれば、警察の呼びかけに応じて進んで通報をする者が多く出てくるかというと、どうにも疑問符が付くところ。

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それどころか撮り鉄といえば、今回のように自らの界隈の評判が悪くなるような動画が出回ると、しきりに「消せ」と迫る人間が現れるのが常で、今回もご多分に漏れずそういう展開になっているよう。ある種の隠蔽体質といったところなのだが、過去には迷惑撮り鉄を通報した高校生に対して、他の撮り鉄らがSNS上で悪口雑言の“集団リンチ”を行い、謝罪とアカウントの消去を強制させるといったトラブルも発生しており、その闇は想像以上に深い。

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そういった背景もあり、これまでだと犯人の特定に至ることなく、有耶無耶なままで話が立ち消えになることも多かった撮り鉄らの迷惑行為。ただ今回は警察が検挙に本腰ということで、果たしてどういった顛末を辿るのか、大いに注目が集まるところだ。

Next: 「損害賠償請求して世に示すべきですね」

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