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給食停止のホーユー、破産申請へ。行政による安価な契約の押し付けに同情を集める反面、ベトナム実習生への搾取&不当解雇で裁判沙汰の過去も

全国約150施設に食事を提供している食堂運営会社「ホーユー」が、破産手続きに向けて準備中だということが判明。帝国データバンクによれば、負債額は16億7,000万円にのぼると見られている。

報道によれば、全国約150施設のうち約半数の施設において、この2学期から給食の提供を停止しているとのこと。そのいっぽうでホーユーは「破産手続きに向けて準備中で、広島地裁に近く破産を申し立てる予定だ」と一部メディアに述べたという。

いっぽうで一部の施設では、ホーユーの従業員有志が、同社からの給料が未払いになっている状況にも関わらず、自主的に余った材料で給食の提供を続けているという。

民間に安価で押し付けた行政が悪いとの声も

今年9月に入り表面化し、全国各地で影響が広がる事態となったホーユーの経営危機とその後の破綻。

そのホーユーの社長だが、5日夜になって一部メディアの取材に対応。「やむを得ず営業を止めた。学生には申し訳ない」としたうえで、「物価上昇が続く中でも運営できないような安価で平然と落札される。安くしないと学校に契約してもらえない」と、経営の苦しさを訴えたという。

ここ数年は外食産業でも、年に度々値上げされることが珍しくない状況だが、ホーユーのような食堂運営会社も同様、食材の価格上昇にくわえてさらには人件費の高騰などには、大いに苦しめられていることは想像に難くないところ。

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ただ、給食事業を始めとした行政からの入札案件となると、複数年に渡る契約期間の間で想定以上に物価や人件費が高騰したとしても、なかなか対応され難いようで、実際今回のホーユーも、学校や役所に給食費の値上げを求めたものの、応じてもらえなかったと告白しているようなのだ。

しかも、先々の費用高騰も見込んだ予算にしようにも、それでは他業者に入札で負けてしまう可能性が出てくるということで、それもままならないといったところ。結局は安く請け負ってしまったことで、その後の未曾有の物価高や人件費高騰で、ニッチもサッチも行かなくなったというのが実情のよう。

当初は、いきなり給食の提供をストップしてしまったホーユーに対して、身勝手だといった見方も少なくなったようだが、その事情が徐々に明らかになっていくにつれ、“民間に安価で押し付けた行政”の非を責める声も、少なからずあがっているといった状況だ。

業界内では金払いの悪さで有名だった?

このように、ある意味での“同情の声”もあがりつつあるといったホーユーなのだが、その反面で今回の件を機に浮上しているのが、過去に同社が引き起こしたベトナム実習生への搾取と不当解雇騒動だ。

なんでもホーユーは、2016年に実習生としてベトナムから来日した女性に対し、3か月間で約3万円しか支払わないという、ピンハネどころではない搾取を行っていたうえに、女性が待遇改善を求めた直後に解雇していたとのこと。

さらに技能実習生受け入れの監理団体と共謀し、女性が行方不明になったとする虚偽の書類を作成。監理団体がベトナムの送り出し機関から、違約金という名目で2,000米ドル(約22万円)を受け取っていたことも、裁判の過程で明らかになったというのだ。

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かれこれ6~7年前に起こったというこの話なのだが、そのあくどさにほとほと呆れ返るいっぽうで、すでにこの時点から、ここまでのピンハネをしないことには、経営がなかなか立ち行かない状況だったとも推測されるところ。

実際ホーユーに関しては、その金払いの悪さが業界内では有名だったとの声も、一部からはあがっており、今回のような事態に陥るのもいうなれば時間の問題だった、とも言えそうである。

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