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NTT法改定めぐり通信大手3社とNTTの論戦激化…通信網は誰のものか?双方の主張と株価への影響=原彰宏

NTT法とは

そもそもNTT法とは、1985年に旧日本電信電話公社の民営化に伴い、新NTTの姿を定めるためにできたもので、民営化しても公共的な役割を課すためのものです。

民営化した新NTTの肥大化を防ぎ、通信市場での競争を促すことを目的としています。

分割・再編などに伴い改正されてはきましたが、固定電話を全国あまねく提供し、研究開発の成果を独占せずに開示するという義務は維持されてきました。

NTT法では、そういった法の性質上、株式に関しては政府に3分の1以上の保有を義務づけています。

それでも政府の持ち株比率は、1980年代後半からの売却を経て3分の1近くまで下がってはきたのです。

今回の法律改正は、この最後の3分の1の株を売却することができるようにする改定になります。

NTTの通信網は誰のもの?

これに対してKDDIなど競合各社は、NTTが旧電電公社から全国の設備を引き継いだ経緯や、携帯通信事業でNTTの光ファイバー網を借りている現状から、廃止には強く反対しています。

NTTの通信網は誰のものなのか…。

楽天、ソフトバンク、KDDIの通信大手3社とNTTとの間で激しい論戦が繰り広げられています。

楽天グループの三木谷浩史社長は「『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」と怒り心頭です。

NTTの通信インフラは税金で作ったものであり、NTT法を廃止してしまうとNTTが通信インフラを独占することになり不平等だと主張しています。

これに対してNTT側は「保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンスな話。光ファイバーはほぼ全て公社ではなく民営化後に敷設している」と主張しています。

確かに約40年前にできた法律です。微調整は必要なところも出てきてはいるでしょう。

通信インフラの発展のためにNTTへの政府の関与はどうあるべきかは、考えるべき事項かもしれません。

NTT法が競争を阻害している?

朝日新聞社説では「長期的な観点から議論を尽くすことこそが重要である。防衛財源の帳尻合わせに終わらせてはならない」と記事を締めくくっています。

政府の「防衛費増額費補填」という下心はともかくとして、米大手「GAFA」などとの競争で
NTT法が制約となっているという指摘もあります。

NTT法では、研究開発の成果を独占せずに開示するという義務を設けていますが、この部分は、
共同技術開発するパートナー企業にすれば懸念材料になりかねません。

固定電話事業は赤字で、経営上の負担が増えています。

経営の自由度を高めるために法改正……自民党の主張です。

Next: 外資に買われたらどうなる?株価への影響も

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