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借金1500万円でもやめられない「ギャンブル依存症」で自己破産した人たちの体験談とその後の復活劇

大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏の解雇により、注目を集めている「ギャンブル依存症」。実は、他人事ではなく誰にでもなる可能性がある。

ベンナビ債務整理が発表した借金の実態調査によると、4人に1人は借金経験ありとの回答が集まった。主な理由としては、「生活費の補填のため」「住宅・車の購入費のため」などが上げられる中、「ギャンブルのため」と遊興費としてお金を借りる人も少なくない。今回、ギャンブルによって借金が膨れ上がり、自己破産を経験した人たちに話を聞いてみたところ、自覚がないうちにギャンブル依存症になっていたという声が聞こえたきた。

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FXで一発逆転を狙って…借金1,500万円に

image by:photoAC

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プロフィール

  • 当時の年齢:32歳
  • 当時の年収:360万円
  • 借金総額:1,500万円

最初は、スマホのゲーム課金を繰り返していました。同時にパチンコにもハマっていて、ずいぶんとのめり込んでしまい、気がついたら借金が膨れ上がっていました。このままでは返済が難しいと思ったので、一発逆転を狙ってFXを始めることにしたんです。案の定、負け続けてさらに借金だけが多くなるばかりでした。今振り返ると、ギャンブル依存症のようなものだと思います。

当時、コロナ禍の影響で働いていた会社がリモートワーク中心になり、十分な稼ぎがなくてスマホで課金した分の支払いをすることができなくなっていました。夜職をすることも考えましたが、自分には向かないと思って、自宅で稼げるFXに手を出したのが間違いでしたね。最初は少ない利益でも稼げていましたが、コツが掴めなくてどんどん負けるばかりを繰り返し、意地になってFXに夢中になっていたら、いつの間にか1,500万円まで借金が膨らんでいました。

消費者金融に相談してお金を借りたり、知人や家族から支援してもらえないかと働きかけましたが1,500万円には到底及ばず。自分が作った借金だとわかっていましたが、精神的に参ってしまってうつ病になり、働けない状態まで追い込まれてしまったので、最終手段の自己破産を選ぶしか手がありませんでした。

自己破産したメリットとしては、借金の金額に関わらず法的な支払い義務が免除されるので、借金の支払いに追われて精神的に追い込まれることがなくなったことです。誰でも申請ができること、生活に使う必要最低限の財産は残してもらえるので、全てを無くす心配がないところもメリットだと思います。

もちろんデメリットは大きいです。まず、ブラックリストに載ってしまうこと。信用がないので数年間はクレジットカードが作れません。なのでキャッシュレスの時代とはいわれていますが、買い物をする時はいつも現金を持ち歩く必要があり、支払い面で何かと不便に感じることがあります。

自己破産してから数年経ちますが、精神的な負担が軽くなり、うつ病も克服できたことがよかったと思います。いまは普通に会社員として働いていますが、以前と比べると細々とした生活です。現在の月収は18万円くらいで、田舎ですしマイペースに1人で十分な暮らしができています。

借金を経験したことで金銭感覚も良くなり、というかまともになったので、将来のために貯金をすることも心掛けられるようになりました。自己破産した身としては精神的な苦痛から解放されて自由になれた気持ちの方が強く、助かったという思いでいるのですが、世間的な評価はとても低く、親からは「恥ずかしい子」だと何度も泣かれました。

後ろめたい気持ちも強くあるので、自己破産せずにいられる方法を模索しておくべきだったかもしれません。そもそもギャンブルやFXにハマらなければ借金がここまで膨れあがることもなかったので、見えないお金を使ったり稼いだりしようとすることはすごく危険だと学べた気がします。

寂しさをギャンブルで埋めるうちに借金地獄へ

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プロフィール

  • 当時の年齢:42歳
  • 当時の年収:500万円
  • 借金総額:170万円

私には離婚歴があるのですが、当時は寂しい気持ちもあって、ギャンブルにのめり込むようになりました。養育費の支払いも多く、月々の生活費だけでカツカツで、経済的にとても苦しかったのですが、その時の癒しはパチンコだけでした。しかし借金はどんどん膨らんでいって、さらに生活を追い詰める結果になりました。

借金を繰り返すたびに新たなカードローンの契約ができなくなって、次回の返済も困難になりました。もう首が回らないというところで金銭的に頼る相手もいなかったので、弁護士に相談へ行ったんです。そこでアドバイスをもとに、自己破産することを決めました。その後は関係書類を集めるなどして、必要に応じて裁判所に出頭しました。

それまでは「まだ大丈夫かな」と思っていたのですが、弁護士に相談したときにやっとことの重大さに気付いたんです。いまでこそ自己破産をして精神的な負担は大きく軽減しましたし、日常生活も平穏になってきてあらゆることに集中できるようになりました。

ただ、ブラックリストに載ってしまうので、新たに借入することができません。もう借入するつもりもありませんが……。あと携帯の本体も分割払いができずに、一括払いのみになってしまいます。経済面であらゆる不利益が生じるので、不便だなと思うときはありますが、こればかりは仕方がありません。

あと、経済的な事情を考慮してもらって、養育費の支払いを免除してもらいました。家族には申し訳ないと思いますが、正直借金のもともとの原因は、離婚による経済的な苦痛にあったので。いまは仕事に打ち込めていますし経済的にも安定し始めました。決して裕福な生活ではありませんが、心豊かに過ごしています。

もしも昔の自分に会えるなら悩みごとを一人で抱えるのではなく、誰かに相談することを勧めたいです。話すだけで少しは気持ちが楽になれますし、あれほどまでにギャンブルに依存することはなかったと思います。

仕事のストレスからギャンブルに手を出して…生活苦でもやめられず

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プロフィール

  • 当時の年齢:35歳
  • 当時の年収:450万円
  • 借金総額:1,000万円

仕事のストレスから、ギャンブルにのめり込み、消費者金融から次々と借金を重ねました。返済のために新たな借り入れを繰り返すうち、利息の支払いだけで手一杯になり、自転車操業状態に陥ったんです。働いても働いても給料の大半を返済に充てる日々。生活は苦しいのにそれでもギャンブルがやめられず、借金が増える一方でした。

このままでは返済のめどが立たないと悟り、債務整理を検討することにしました。そこで弁護士に相談したところ、借金の総額や資産状況から判断して、自己破産が最善との助言を受けました。家族にも事情を話し、将来的な生活再建のためにも自己破産を選択したんです。

まずは司法書士事務所に依頼して、必要書類をそろえました。財産目録や債権者リストを作成して、簡易裁判所に自己破産の申立書を提出。それから約2カ月後、裁判所から破産手続開始決定の通知が届きました。免責不許可事由がないことを確認したあと、約4カ月後に免責許可決定を受けました。保有資産は換価され、債権者への配当後、残債務は免責になりました。

自己破産のおかげで、借金の返済に追われる日々から解放されたのがとても嬉しかったです。当たり前ですが給与の全額を自由に使えるようになり、新しい人生設計を立てられるようになったので、ギャンブルを断ち切るきっかけにもなったと思います。

ただ、当面は新たな借り入れができません。ローンを組んだり、クレジットカードを作ることもできないので、賃貸物件の審査でも不利な立場になってしまいます。破産歴は信用情報機関に事故情報として登録されるそうで、5年以上その記録が残ると聞きました。このことは周囲には一切話していません。

いまは実家に身を寄せ、リスタートをきっています。以前働いていた会社は退職して、ハローワークを通じて再就職活動中です。貯金は全くありませんが、ありがたいことに両親のサポートを受けながら、地道に生活再建を図っているところですね。

ギャンブルのために安易に借金を重ねたこと自体が問題でしたが、そもそも浪費癖を改めるべきでした。当時は自覚がなかったのですが、ギャンブル依存症の恐ろしさを思い知りました。もっと早い段階で家族や専門家に相談していれば、自己破産は避けられたかもしれません。借金をする前に、おちついて立ち止まって考えることが大切だと痛感しました。

−−「あとこれだけ」「きっと負けを取り返せる」そういった気持ちから、ギャンブルをやめられず借金を繰り返してしまった人たち。自己破産という道を選んだ3人は、現在は精神的にも回復して、穏やかな生活を過ごしているということだったが、もしも自分もそうかもと思ったときは、専門家や信用できる人に相談してみてほしい。
消費者庁「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ

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出典:ベンナビ債務整理
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