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「ヘリコプターマネー」導入で日本が操縦不能になるシンプルな理由=東条雅彦

歴史は繰り返す?「リフレーション」の罠

リフレーションという言葉は最近の言葉のように聞こえますが、実は1930年代にも頻繁に使用されていました。

英エコノミスト(The Economist)誌の「『リフレーション』か破綻か」という記事(1932年2月13号)でこの言葉が初めて登場し、その後、日本でも広く使われるようになりました。まさに歴史は繰り返す!です。

ウィキペディアから、「リフレーション > 昭和恐慌と高橋財政」の要点部分を引用します。

10%のデフレが急速に終息に向かい、国債の日銀引き受けが始まる2ヶ月前から、3%前後のインフレへと急速に変化した。

高橋によって生み出されたマクロ経済政策の枠組みは、リフレーションによる景気回復という本来の目的を逸脱し、第二次世界大戦のための軍事費の調達という色彩を強めていった。

その後日銀の国債引き受けは悪用され、インフレが高進した。

悪用が生じた本質は軍部の専横にある。

二・二六事件(1936年)以後、インフレ率は10%台に上昇し、国民の消費生活は貧しくなった。

出典:リフレーション – Wikipedia

当時(1930年代)の軍国主義の状況と、今(2016年)の状況を単純に比較はできませんが、それでも下記の3点は見逃せない点です。

  1. 日銀の国債引き受けが悪用された
  2. 結果的に日銀の国債引き受けを停止できなかった
  3. 年率10%の高インフレが発生してしまった

本当に「無利子永久債」で政府の財政問題は解決できるのか?

ヘリコプターマネーの「中央銀行による国債の直接引き受け型」を理解する上で欠かせないのは、国債を「無利子永久債」にすることの意味です。

通常の国債と比較して、以下に示します。

<通常の国債>

  • 利子がある。利子の分だけでも返済しなければ、借金はどんどん増えていく
  • いずれ元本を返済しなければいけない

<無利子永久債>

  • 利子がない
  • 元本を返済する必要がない
  • ん?待て待て。政府にとって「無利子永久債」は「借金」にはあたらないの?と思った方。その通りです。これは借金のように見えて、実は借金ではありません

    しかし逆に言えば、日銀がバランスシートの資産の部に「無利子永久債」を計上しても、その資産価値はゼロなのです。

    これが「無利子永久債」の弱点です。

    Next: 国債の「無利子永久債」化で日銀のバランスシートはどう変化する?

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