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痛恨の勘違いも? ジョージ・ソロスの「予言的中率」を検証してみた=東条雅彦

結局、ソロスはリーマン・ショックで儲かったのか?

サブプライム住宅ローンのバブル崩壊を的中させたジョージ・ソロスは、結局のところ、どれくらい儲かったのでしょうか?ここが一番、知りたいところでしょう。

結論を先に言うと、ソロスは「あんまり儲けられなかった」と語っています。2冊目の『ソロスは警告する 2009』の1ページ目から、その原因を挙げています。

原因その1『デカップリング説が間違いだった』

もっとも、一つだけ間違えたことがあり、そのために私は痛手をこうむることになった。その間違いとは、新興国経済の好況が、先進国経済のパフォーマンスとは関係なく続くという、いわゆる「デカップリング」説を信じたことである。実際には発展途上国の経済は先進国のそれと密接に関係しており、インド株、中国株は、アメリカ株、欧州株よりもはるかにひどい成績だった。(P1より引用)

これはかなり悔しかったと思われます。ソロスは経済の流れを的確にとらえていたにも関わらず、中国株とインド株で損失を出してしまったのです。この判断ミスが次の原因に繋がります。

原因その2『大きく逆張りできなかった』

中国株・インドでの損失と、外部のファンド・マネージャーが出した損失をカバーするために、私はマクロ口座の資金を大量動員しなくてはならなかったが、その結果もまた好ましくないものだった。取引量を増やしすぎてしまったのです。ボラディリティ(相場の変動率)がどんどん大きくなっていく市場にあって、私がとったポジションは大きすぎ、リスクを抑えるためには、市場のトレンドに対して大きく逆張りすることができなかったのだ。<中略>私自身は空売りの経験が豊富なのだが、それでも何度か踏み上げに遭って、そのため結局2008年の10月と11月にやって来た、最大の下げ相場を逃すことになってしまったのだ。(1~2Pより引用)

このソロスの説明は、ふだん信用取引や証拠金取引をしていない人にとっては分かりづらい内容になっています。

リーマン・ショック(2008年9月15日)直後は、市場が日々、激しく乱高下する状態が続いていました。

基本的なトレンドは下落する方向なのですが、下げ相場でも買いたい人もいるため、株価は上がったり下がったりを繰り返しながら、徐々に下がっていきます(上がる時はその逆です)。

相場がストンと下落すれば、ソロスの利益になったはずですが、実際には買いたい人の抵抗にあって、大きな売りを仕掛けられなったのです。リスクを抑えていたため、10月と11月の下げ相場を逃してしまったという話です。

実際、チャートを確認すると、リーマン・ブラザーズが倒産した2008年9月15日よりも、10月に入ってからの方がドラスティックに相場が下がっています。

Next: ジョージ・ソロスの「当たった予想」「外れた予想」まとめ

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