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就職も結婚もできない「クレジットスコア超格差社会」に突入する日本=岩田昭男

いつの間にか個人の信用評価の物差しに!

アメリカの場合、個人の信用を計る物差しとして、カード作成の審査以外でもクレジットスコアが利用されており、なんとクレジットスコアが商品化され、企業向けに販売されていると言います。

まさに、資本主義を極限まで推し進めたアメリカ社会ならではの現象です。

クレジットスコアを購入した金融機関は住宅ローンの審査などに利用して、自社で審査を行う労力を軽減し効率化を図っています。

一般企業はマーケティングに活用するため、富裕層にDMを出したいときはプライム層の名簿を、貧しい人にDMを出したいときはサブプライム層の名簿を購入するなどしています。

このようにクレジットスコアは企業にとってはターゲティングできる名簿として利用価値が高く、三桁の数字を見るだけで顧客の信用度がわかるのですから、業務の効率化にもつながります。

その一方で、大きな社会問題を引き起こす原因にもなっています。

もともと、クレジットスコアは単なるクレジットカード会社と個人の関係を表す数字のはずでしたが、いつの間にか個人の社会的な評価軸として機能し始めてしまったのです。

一種の社会インフラになっているといっていいのかもしれません。

その結果、就職転居結婚などにもこのスコアがかかわるようになり、スコアの善し悪しが生活に大きな影響を与えたり、格差を拡大させたりしています。

クレジットスコアの高いプライム層では銀行の預金金利が高くなり、ローン金利は低くなりますが、逆にサブプライム層では、預金金利が低くなり、リボルビングやローン金利が高くなるのです。

クレジットスコアの点数で、個人の金利が左右され、プライム層は蓄財するのも、借金をするのも有利になり、一方、サブプライム層にとっては、蓄財も借金もどちらも困難になるという不平等な社会になっています(サンダース候補が改革を訴えたのは、この不平等です)。

さらに、企業が使い方を間違えると、国の経済や社会全体を揺るがしかねません。すでにそうした危険性が現実となって現われています。

2008年に起こったリーマンショックの原因となったサブプライムローンの破綻は、このクレジットスコアが元凶でした。

住宅ローンの貸し先がなくなっていたにもかかわらず、クレジットスコアを利用して本来返済能力のないサブプライム層の貧困層にまで貸し付けるようになったために、最後にクラッシュを引き起こしたのです。

Next: 年次改革要望書にも記載あり。日本がクレジットスコア社会になる日

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