クレジットスコア社会がトランプ大統領を生んだ!
トランプ現象や、民主党の最左派として予備選で善戦したサンダース現象は、こうしたクレジットスコア社会の副産物といえるかもしれません。二人はプライム層とサブプライム層の対立を象徴しています。
不動産王といわれたトランプは、実は4回も破産しています。しかしそのたびに不死鳥のようによみがえって最上位のプライム層の頂点に上り詰めています。
文字通り、何度破産しても復活する返済能力が評価された、クレジットスコアを象徴するような人物です。
当初は共和党の泡沫候補と見られていたトランプは、その実績(?)を背景に「オレを見習ってアメリカンドリームを実現しろ!」と人々に呼びかけました。
一方、社会民主主義者を自称するサンダースは、拡大する格差社会に警鐘を鳴らし、富裕層を優遇する政策をあらためるべきだと訴え、学生を中心とした若者から熱い支持を受けました。
アメリカでは奨学金制度が充実しており、利用している学生は多いのですが、最近になって奨学金を借りる際の金利が2%から8%以上に大幅にアップしてしまい、気がついたら借金漬けになっているという学生が急増しています。サンダースはこうした状況に対して怒りの声をあげ、「貧困」こそ問題だと指摘したのです。
民主党は結局、政治エリートのクリントンを大統領候補に選びましたが、大方の予想を裏切ってトランプが大統領選挙に勝利しました。
トランプの勝利は、現状に不満を持つプライム層と中間層の支持が、既存の政治家やマスコミの分析を大きく上回っていたことを物語っています。
TPPを取り下げても日本はクレジットスコア社会になる!
トランプの経済政策は保護主義だといわれていますが、アメリカの経済政策が日本に大きな影響を与えることは言うまでもありません。
私はトランプ、クリントンのどちらが大統領になっても、そう遠くない将来に、日本でもクレジットスコアと同様なシステムが取り入れられるのではないかと考えていました。
日本の経済政策はアメリカの「年次改革要望書」に沿って行われることが多いと言われますが、これまでの「要望書」にクレジットスコアについての記載がありました。
そのため、企業が越境しやすい環境が整うTPPが施行されれば、日本での導入が一気に現実味を増すと考えてきました。
すでに現在ソフトバンクがみずほ銀行と組んで、携帯電話の名簿を使ってクレジットスコアの集計を行おうとしています。
トランプはTPPには反対だといっていました。大統領の座が決まった後もTPP反対の立場は変わっていません。
TPPは日本語で「環太平洋戦略経済連携協定」と言います。その究極の目的は、加盟国間の関税をゼロにして企業の活動をしやすくすることです。
その結果どうなるかというと、さまざまな商品やサービスを安く提供できるようになるので、消費者にとって大きなメリットがあるというのがTPP承認に動いた日本政府の言い分です。
しかし、果たして本当にそうでしょうか。