fbpx

5年ぶり減収減益 トヨタが怯える「トランプ以外」の隠れリスクとは?=栫井駿介

エコカー・自動運転車の開発が重荷に

販売台数で世界一になれなかったとしても、株主としては利益を出してもらえれば問題ありません。高い利益率を継続できれば、十分株主に報いることができるでしょう。しかし、それすら難しくなる可能性があるのが自動車業界の現状です。

自動車業界は大きな変革期に差し掛かっています。フォルクスワーゲンの排ガス不正の発端となったのが、環境規制です。各国が環境に優しい自動車の販売を推奨していることから、世界的なエコカー開発競争が激化しています。主流になるのが電気自動車なのか燃料電池自動車なのかも定まらず、各社は両にらみで開発を続けなければならないのです。

開発競争はエコカーだけではありません。各社が必死になって追い求めているのが自動運転車の開発です。自動車メーカーにとどまらず、アップルやグーグルなどのIT企業も自動運転車に開発に多額の資金をつぎ込んでいます。

しかし、資金をいくらつぎ込んだところで、各社が目指しているゴールは似たようなものでしょう。うまく開発できたとしても、差別化を図ることは容易でなく、最終的には価格競争に陥ってしまう可能性が否定できません。当面は研究開発費の増加が自動車メーカーの利益を圧迫することになるでしょう。

いくら負担が重いからと言って、世界を代表する自動車メーカーである以上、研究開発を止めるわけには行きません。トヨタの研究開発費は約1兆円と、売上高の約4%に上ります。株主は研究開発費の動向に注意を払う必要があるでしょう。

スズキとの提携は双方にメリット

自動車業界の現状を表しているのが、トヨタとスズキ<7269>の業務提携です。

スズキも大手自動車メーカーの一角として研究開発競争に参加を余儀なくされていますが、世界の大手企業と比べて規模が小さく、研究開発に巨額の資金を回す余裕はありません。そこで、少しでも負担を軽くすべく、同じ日本企業であり旧知のトヨタに協力を申し出たと考えられます。

スズキ<7269> 日足(SBI証券提供)

スズキ<7269> 日足(SBI証券提供)

スズキはかつてフォルクスワーゲンと提携していましたが、2015年に最終的に裁判を経てようやく提携を解消しました。そのような苦い経験があるにもかかわらず提携を申し出るということは、それだけ切羽詰まった環境があるのです。

この提携は、もちろんトヨタにとってもメリットがあります。トヨタは中国をはじめとする世界の成長市場を取り込めていませんが、スズキはインドで約4割という圧倒的なシェアを持ちます。

【関連】スズキ株急落~投資家は三菱自動車の「二匹目のドジョウ」を狙えるか?=栫井駿介

人口や経済成長を考えると、インドはこれから中国を上回る成長市場になることが想定されます。トヨタはスズキが持つインドにおける販売網やノウハウを吸収して、将来の販売台数増加につなげたいという思惑があるのでしょう。

Next: 最大のリスクは「トランプ大統領」にあらず。景気と為替に要注意

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー