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安倍3選から始まる負のスパイラル。アベノミクスで賃金が上がらなかった当然の理由

有効求人倍率のトリック

企業は、将来の消費の主役である若手労働者の賃金を抑えることばかり考えているので、トリクルダウンが起きないどころではなく、ますます消費を冷え込ませ、結果として、企業は自分で自分の首を絞めていることになるのです。

有効求人倍率が1.52だと胸を張っても、消費の主役の賃金を絞ることばかり考えているのですから、未来の市場をも破壊していることになります。

そこにきて、団塊の世代のいっせい離職によって、求職者数(分母)が急激に減っているため、雇用情勢が改善しているかのように見えているだけです。

雇用情勢が良くなった理由は、あくまでも労働人口の自然減によるもので、安倍首相が繰り返しアピールしているような政府の政策によるものではありません。

つまり、労働人口の自然減によって有効求人倍率はアップしましたが、逆に言えば、それだけ消費市場のパイが小さくなっているのです。

企業は内部留保に励むことしかできない…

したがって、企業は生産を拡大して供給量を増やす必要がなく、整備投資も控え目にせざるを得なくなっているのです。

つまり、消費が伸びる見通しが立たないので企業は生産を拡大することができず、必然的に内部留保による自社株買いに励んで株価を吊り上げることぐらいしかできなくなっているのです。

当然、企業の財務基盤は強くなるので、金融機関から見れば、大企業の資金需要はさらに細るので貸出先に苦慮するようになります。

いくらゼロ金利を維持し、民間銀行には日銀の当座預金にマイナス金利というペナルティーを加えてもマネー・ストックは増えないのです。

マネー・ストックが増えなければ、消費が伸びることがないというのは常識です。

大規模な金融再編は何を物語っている?

かつて、どの政権も鳴り物入りの「国策事業」を打ち出して選挙戦に臨んでいました。福祉、インフラ建設、半導体、バイオ…。おそらく、安倍政権は「国策」をまったく打ち出すことができない初の政権でしょう。

つまり、アベノミクスの下では、政府としての経済政策を何ひとつやっておらず、異次元の金融緩和の日銀に丸投げして、ひたすら通貨の量を増やし金利を操作しているだけです。

仮に安倍三選となった場合、政府の無為無策は相変わらずですから、番茶の出がらしのごとく、絞り尽くしても何も出てこないアベノミクスを何度でも使いまわしして経済指標の捏造を続けていくでしょう。

市場の縮小と資金需要の枯渇というダブルパンチによって徹底的に痛めつけられている民間銀行の収益は、ますます悪化の一途をたどり、将来的にも展望が開けないことから、いよいよ経営統合に踏み切って延命を図ることに必死になっています。

メガバンクでは、去年すでに大量の人員削減計画を発表していますが、これは始まりに過ぎません。今後、金融機関の雇用はますます減っていくので、早々と見切りをつける行員が増えています。

従来のビジネスモデルがまったく通用しなくなった地銀の場合はさらに深刻です。まさに生き残りをかけた経営統合が再び加速しています。

これを後押ししているのが金融庁で、つまり、財務省と日銀はマイナス金利を導入することによって、今のうちに、体力のない金融機関を整理統合しておこうと考えているのです。

要するに、近い将来「起こること」に対処しようとしているのです。

Next: 専門家たちの警告「銀行にお金を預けっぱなしは危険」の真意とは?

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