過去にも行われた日本の預金封鎖
日本では、1946年に政府が「金融緊急措置令」を発令後、預金封鎖を行いました。銀行からは、生活費程度の金額しか引き出せなくなり、それが解除された後には、預金口座の残高がごっそり削られていたのです。
つまり、日本の金融システムを破綻させないため、政府は国民の資産を強制的に奪い取って穴埋めに使ったのです(ダイジェスト記事はコチラ)。
日本は「負のスパイラル」に吸い込まれていく
キプロスで起こったことを、再度、おさらいしてください。それと同じことが、いつ起こるのか…。
たとえば、国・地方併せて1000兆円の負債の利払いが1%になったときの公債費の利払いは10兆円です。最初のうちは、2~3%程度、つまり3兆円程度利払いが増えるだけですから、政府はなんとかヤリクリすることができますが、中長期的には10兆円の利払いを履行しなければなりません。
今でも、予算編成の半分以上を赤字国債に頼っている現状で、さらに10兆円利払いが増えれば国家予算が組めなくなります。
そのずっと前の段階で、格付け会社は日本国債の格下げを行うでしょうから、危険をいち早く察知し、逃げ足の速い外国勢は日本の株式市場から資金を引き揚げ始めるでしょう。
おそらく、それがトリガーとなって、日本は一気にデッド・トラップの負のスパイラルにの吸い込まれていくでしょう。
つまり、国債の利回りが払えなくなって、さらに国債を発行しなければ、日本が完全に「ジ・エンド」になってしまうからです。
解決策はあるが、それが地獄の始まりになる…
しかし、国債が新たな国債の発行を誘発する、という負の連鎖が始まっても、なんとか日本が倒れないようにする方法が1つだけあります。
それが、政府の赤字国債を日銀が上限なく直接引き受ける「財政ファイナンス」なのです。
それはハイパーインフレの始まりで、もう引き返せない地獄の一丁目です。
そのとき、日銀は、ひたすら紙幣を刷りまくって死を待つだけになります。その資金が株式市場に向かうので、日経平均は一時期、さらに上昇するでしょう。
しかし、それは線香花火が燃え尽きる直前の最後の輝きに過ぎないのです。
どういうことか分かりますか?
アベノミクスの物価目標2%が達成されるようなことがあれば、それは預金封鎖が始まるサインだということなのです。
2%が達成されるということは、ハイパーインフレが始まることと同じだからです。だから、日銀は、最初から2%を達成しようとは考えていないのです。