順調な経済成長で「中所得国」の仲間入り
トルコ経済は堅調です。GDPは右肩上がりが続き、2017年の成長率は7%を超えています。

出典:世界経済のネタ帳
トルコの経済力の裏付けとなっているのが、人口動態です。人口は約8,000万人と多く、2050年まで伸び続けると見られています。現在は、労働者人口が急増して経済に貢献する「人口ボーナス期」に入っていることも重要なポイントです。

出典:TurkStat(単位:百万人)
イスラム教国ですが、「世俗主義」を掲げてEU諸国に接近しています。政治情勢は安定していましたが、この数年エルドアン大統領が強権化を推し進めている点は気がかりではあります。
一人あたりGDPは1万ドルを超え、「中所得国」の仲間入りを果たました。この水準まで来ると中間層の厚みが増し、国内消費が拡大します。一方で、人件費の上昇に伴い安価な労働力の提供が難しくなって成長が鈍化する「中進国の罠」にもはまりやすく、楽観ばかりはできません。
現在は輸入が輸出を上回り、経常収支が赤字の状態です。国内経済が安定的に大きく成長するには、輸出を拡大させる世界レベルの企業が育ってくる必要があります。
トルコ株ETFを分析!
「○○ショック」のようなときは、絶好の投資チャンスとなる場合があります。リーマン・ショックはもとより、ギリシャ・ショックやブレグジットはまたとない投資機会でした。私はFXについてはわかりませんので、株式について考えると、日本からトルコに投資できるとすれば、現実的には投資信託ということになります。
検索して上位に挙がってくる投資信託が「トルコ株式オープン」と銘打つものですが、信託報酬が約2%と高く、あまり魅力的ではありません。
同じ投資信託に投資するなら、米ナスダック市場に上場するETFの「iシェアーズ MSCI トルコ ETF」でしょう。こちらは信託報酬0.62%と、まだ良心的です。
ブラックロック社のホームページに掲載されている指標は以下の通りです。
・PER:7.45倍
・PBR:1.14倍
・分配金利回り:7.02%
もしこれが個別銘柄だとしたら、割安株として今にでも投資を検討したい水準です。利回りが7%あれば、値上がりがなくても再投資により約10年で2倍のリターンを得ることができます。
指標の中で、特に目を引くのがPERの低さです。米国が23倍、日本が12倍という中で、トルコは6倍(実績基準)となっています。国別のランキングでは最下位に沈んでいるのです(マイナスのイスラエルを除く)。
※参考:世界45か国 2018年8月のPER・PBR(my INDEX)
PERが低いということは、成長性が疑問視されているか、リスクが高いと考えられているということです。