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音楽業界を救うのはブロックチェーン。アーティストに利益が還元される世界へ=高島康司

その1:著作権の管理

音楽配信の分野でもこれはもっとも分かりやすい活用方法だ。

もともとブロックチェーンとは仮想通貨の送金データを分散台帳に記録するテクノロジーである。これは、仮想通貨の送金のみならずあらゆるデータの記録に有効だ。不動産業界などでは、不動産の登記をブロックチェーン上に記録するプロジェクトは進んでいるし、また保険業界でも被保険者と保険契約の内容を記録したり、さらに医療の分野では、患者が受けたすべての治療と薬の処方を記録し、スマホで医療関係者が確認できるプロジェクトもすでに稼働している。

その点から見ると、ブロックチェーンを活用すると、アーティストの楽曲の著作権管理は比較的に簡単に行うことができる。もちろんこの場合も、著作権料の徴収や著作権侵害の告発などは、著作権を管理している音楽事務所などが行わなければならない。だが、著作権の記録と管理にブロックチェーンが活用できれば、文書や書類の必要がなくなるので、この分野の管理コストは大幅に削減できる。その結果、削減されたコストはアーティストに還元できる

また、著作権契約だが、これはブロックチェーンが実装したスマートコントラクトによって契約から著作権料の支払いまでを自動化できるので、さらに大幅なコスト削減が可能になる。

その2:音楽のダウンロード

プログラムの自動実行機能を実装したスマートコントラクトのブロックチェーンであれば、ブロックチェーンに登録した楽曲をダウンロードするシステムが構築可能になる。

このとき、楽曲のダウンロードから支払いまでをすべて自動化できるので、巨大な音楽配信用サーバを持つプラットフォームは必要ない。いわば消費者が、完全に自動化されたブロックチェーンのプラットフォームを介して楽曲を購入することができる。

サーバの維持と管理のコストは大幅に削減できるので、ここでもアーティストに利益が還元できる

その3:ストリーミング

いま音楽配信の分野では、ライブ講演やパーフォーマンスのストリーミング配信も拡大しており、低い定額料金の動画配信のプラットフォームも出てきている。しかし、アクセスが殺到すると、既存のストリーミングサーバでは大きな負荷がかかり、ストリーミングが一時的に停止してしまうこともある。

これを回避するためには、前々回の記事「ウェブ3.0とブロックチェーン(1)」で紹介した、ブロックチェーンを活用したストリーミングのシステムが構築できる。これは、サーバの集中を回避するために、ブロックチェーンに登録した無数のユーザーの間でストリーミングをシェアするシステムだ。この方法を使うと、サーバのリクエストの集中は回避されるので、これまでの問題は解決される。

Next: 音楽事務所やレーベルは不要。アーティストにもっと利益が行く仕組みとは

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