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逃れられない日本の財政破綻、私たちの資産が政府に吸い上げられる日は近い

バブル崩壊という市場の大規模な荒療治が世界規模で始まる

1929年のウォール街大暴落は、その後、世界金融恐慌に繋がっていったわけですが、その原因を突き止めようと数々の調査委員会が立ち上がったものの、やはり、未だに「誰がトリガーを引いたのか」特定できていないのです。

ファンダメンタル的には、米国の行き過ぎた保護主義が招いた貿易摩擦が極限まで達して、債権の流動性が失われたことが根本の原因とされています。1987年のブラックマンデーのときも同様です。

しかし、これらは、すべて後付け解釈であって、真相は、英フィナンシャルタイムズ紙の副編集長であり、経済論説主幹であるマーティン・ウルフ(Martin Wolf 72歳)やキャサリン・オースティン・フィッツ(Catherine Austin-Fitts)が漏らしたように、過去の金融危機は、国際銀行家が支配している中央銀行ネットワークによって引き起こされてきたことは、多くの経済学者が認めるところとなっています。

株式市場の下落トレンドが明確になった以上、投資家たちの次の関心事は「制御できないほどのインフレが、いつ起こるのか」ということです。百戦錬磨の投資家にとっては、ハイパー・インフレでさえ、資産を増やす絶好のチャンスだからです。

中央銀行がもっとも警戒しているのはインフレです。

特に、米国の連邦準備制度は、過去の経験から、ハイパー・インフレの兆候がわずかでも見え始めると金融引き締めに入って、瞬く間に、その芽を摘んでしまいます。

米・連邦準備制度理事会(FRB)は、そのあたりは抜かりなく、2015年に資産購入プログラムを終了し、欧州中央銀行(ECB)もまた、去年12月末に量的緩和政策を終わらせると宣言しています。

中央銀行が一転して引き締めに入ったことから、少なくとも2019年からは株式市場、債券市場、そして不動産市場の大幅な調整が見込まれていますが、問題は、すでに、あらゆる市場がバブル状態になっていることです。

つまり、バブル崩壊という市場の大規模な荒療治が世界規模で始まるということです。

好んでハイパーインフレに突き進む日銀と日本政府

翻って、日・米・欧の中央銀行のうちで、日銀だけは量的緩和の続行を表明しています。

それどころか、「構造改革は道半ば」を呪文のように唱えながら、さらに量的緩和を進めるべきだと圧力をかけている日本の経済学者や元FRB議長が「まだまだ、全然足りない」と日銀にプレッシャーをかけ続けています。

といっても、昨年は、量的緩和を80兆円規模から60兆円規模に縮小しているので、2019年の今年は、さらに縮小することは確実です。

端的に言えば「国債の発行が、これ以上できないデッドラインが近づいている」ということを暗示しているのです。

財務省の公式発表によると、国と地方の借金を併せた日本の債務残高は、平成30年度末(2018年末)で1,107兆円にまで膨らみ、対GDP比で200%をゆうに超えています。

それだけでなく、安倍内閣は、2016年9月に日本のGDPを嵩上げするというトリックを使いました。

GDPの算定方式を改定して、わざわざ2011年まで遡って新基準を採用し、これを19.8兆円増としたのです。

ロイター(2016年9月15日付)が、皮肉交じりに「600兆円経済に追い風か」との見出しで記事を書いているように、名目GDP600兆円に向けた成長戦略「日本再興戦略2016」を打ち出したため、少しでもGDPが伸びているかのように装飾する必要があったからです。

ちょうど、2015年の暮れ頃から、アベノミクスの虚構に気がついた海外メディアが、いっせいに、アベノミクスに死刑宣告を下すような記事を書き始めたため、メッキが完全に剥がれ落ちる前に、なんとしてでもGDPを膨らませる必要が出てきたのです。

さすがに、「GDP600兆円など不可能に近い」と呆れ果てる経団連企業の経営陣たちの冷ややかな反応をよそに、「データの捏造は毎度のこと」と国内外のメディアに揶揄されながら打ち上げたのが、「GDP600兆円ー日本再興戦略2016」の大花火だったのです。

アベノミクスという虚構

安倍首相の主導でGDPデータの捻じ曲げが行われた決定的証拠が、2017年10月10日の自民党広報によるこのツイートです。

もちろん、50兆円どころか、アベノミクスによってGDPはまったく伸びておらず、GDPの算定方式を都合よく変えてしまったために起こった珍事ならぬ誤魔化しです。

つまり、アベノミクスの下で、異次元の量的金融緩和を続ける日銀、さらに政府の国債を買い続けるために、少しでも、「日本の債務残高対GDP比率」を圧縮したいという不純な考えから出てきた稚拙なトリックに過ぎなかったのです。

つまり、2016年の時点で、すでに政府の借金は国債の増発ができない水準まで来ていたということを意味しているのです。その証拠に、2016年6月13日、三菱UFJ銀行が国債入札特別資格の返上を申し出ました。

これらの出来事を時系列に沿ってつなぎ合わせてみれば、アベノミクスそのものが虚構であることを否定できる専門家は誰一人として現れないでしょう。

Next: 国民の資産が政府に完全に吸い上げられる?「財政ファイナンス」に踏み切る日銀

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