日本の財政破綻が間近に迫っている
日本の市場は、政府と日銀によって意図的に形成された官製相場ですから、米国やヨーロッパの市場とは本質的に異なり、同日に論じることは適切ではありません。
日本の株式市場の10%を公的資金で支え、日銀の量的金融緩和によって国と地方の借金は膨らむばかりで、両者を併せた負債額1,107兆円は、今年の国債の利払い分だけで政府税収の43%を占めるに至っています。
日銀は量的金融緩和を続行すると宣言しているので、現在の日本の財政における国債依存度30%はさらに増え続け、債務返済のための税収に対する割合は高くなっていくでしょう。
とうとう、これ以上は持続不可能なレベルまで来てしまったのです。それは、国家予算が組めないレベルです。
事実上、破綻状態にある米国でさえ国債依存度は10%台ですから、日本の財政が、いかに凄まじいか誰でも分かりそうなものなのですが、間違いなくマスメディアには安倍官邸が箝口令を敷いているでしょうから国民は知ることができないのです。
この危機的状況に関する日銀総裁の発言は、経済財政諮問会議の議事録からさえも削除されてしまったという不気味さ。
フォーブスが、「いつか『安倍が日本をダメにした』と振り返る日が来る」と日本の投資家に警告するジム・ロジャーズの直言を取り上げています。
ジム・ロジャーズは、過去何度か、アベノミクスの破壊力についてメディアに言及してきました。
今となっては、彼をデマ呼ばわりする人は皆無に近いでしょう。
日本の数年後について「日本は酷いデフレになる」と主張する有識者と、「日本は、酷いインフレになる」と主張する有識者に別れています。
どちらが正しいかということではなく、期間の取り方によっては、どちらも正解となるでしょう。
「世界中の経済学者がインフレを警告しており、日本はアベノミクスによって、人手不足なのに実質賃金が下がり続け、年金崩壊が叫ばれているくらいだから、デフレになるんだったらお金の価値が上がるんだから、一般の労働者や年金生活者にとっては生活が楽になるんじゃないの?」…
こう考えている人がいるとすれば、この先の凄まじい経済崩壊にサバイバルできないでしょう。
今年から厳格適用される「バーゼルIII」が、日本の弱い金融機関を淘汰させる!?
問題は、何がトリガーとなり、どちらが先にやって来るのか、ということです。
もっとも可能性が高いのが、2019年の春から厳格適用される「バーゼルIII」です。
バーゼルIIIとは、主に西側主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、銀行の健全性を維持するために導入した自己資本規制のことです。
バーゼルIIIは、1998年のバーゼル合意(いわゆるBIS規制)に端を発しています。
その後、バーゼル合意が見直され、2004年にバーゼル2(いわゆる新BIS規制)が発効されたことによって、銀行の自己資本比率を高めることが要求されるようになったのです。
そして、その範囲が拡大され、株式や内部留保などからなる銀行の資産に加え、投資や融資(債権)などによるリスク資産についても総合的な評価が行われ、それらの総資産に対して、一定割合以上の自己資本を持つことが強制されるというのがバーゼルIIIです。
確かに、銀行の財務体質強化、経営の健全化にとっては良いことですが、その反動として、銀行がバランスシートを重視するあまり、リスクを取らなくなってしまう恐れが出てくるのです。
バーゼルIIIが適用されることで銀行の貸出能力を束縛されてしまうことから、銀行にとって、まさに最高の借り手にだけに資金を貸し付けるということが起こって来るのです。
バーゼルIIIは、世界市場における流動性を減少させて信用成長を遅くしてしまうため、産業社会にとっては死活問題となり、ショックが大きければ、財政的なパニックを誘発することにもつながってしまうのです。
バーゼルIIIは、すでに世界中から非難の的となっているにも関わらず、不思議なことに西側の金融機関は、この横暴なルールに従おうとしているのです。
バーゼルIIIでは、銀行の事業によって蓄積してきた利益の内部留保(中核的自己資本)の比率を、実質7.0%以上とすることが求められており、2012年末から段階的に導入されてきましたが、いよいよ2019年から全面的に適用される運びとなったものです。
2019年からは、国際取引を行う銀行を対象としたバーゼルIII(新BIS規制)が実施されるので、中規模の銀行でさえ貸出能力が強い束縛を受けるようになります。
バーゼルIIIによって、国際取引を行うことのできない地銀など小規模の金融機関は資金の逃避先をほぼ失います。
それでも多少は、国内の不動産や金・銀などの商品の現物に資金が向かうかもしれませんが、やがてその過程で形成された資産バブルも破裂するので、その後、続々と破綻していくことが懸念されます(※臨時増刊号 2016/3/31【Vol.009】に詳述)。