経済規模が正常かどうかは、市場が決める
一方で、経済の規模はほとんど大きくはなりません。
世の中何が正常なのかわかりません。スイスやドイツのように公債の発行残高が、GDPの半分程度に収まっている国が正常なのか。それとも上記ケースのように、国債の発行残高が3,600兆円ある一方で、国全体が一年で稼ぐ価値、すなわちGDPが500~600兆円にとどまる国が正常なのか。
それを決めるのは、エコノミストでもなく学者でもなく、おそらく市場です。
通貨は紙(または電子データ)でできており、もちろんそれそのものに価値はありません。通貨が通貨であり続けられるのは、通貨に対する市場の信認が維持されているからです。
『通貨の信任は、中央銀行によって通貨供給量が適切に管理されていれば維持できる(注)』という考えには僕も賛同しますが、逆にもし通貨供給量が適切に管理できないほど大量の国債を、日銀が購入を余儀なくされたらどうなるでしょう。
注)野口旭著「アベノミクスが変えた日本経済」より一部抜粋、筆者加筆
さきほども申しましたが、何が適切で何が異常なのかを決めるのは、エコノミストや学者ではなく市場です。
上記のケースのようにGDPが600兆円の国が、3,600兆円の国債を発行しているとして、果たしてその国の通貨に対する信認が維持されるでしょうか。
「そんな極端な話しを持ち出して、大げさに煽るな」とお叱りを受けるかもしれせんが、果たしてそう言い切れるでしょうか。
まさか年あたりの歳出が300兆円に膨らむことは無いでしょうが、200兆円ならどうでしょう、200兆円が無いとしても、150兆円ならどうでしょう…。
現在の歳出規模が100兆円強ですから、150兆円ならむこう10年ほどの間にあり得ないとは言い切れません。
つまり極端なケースである歳出300兆円と、現在の100兆円の間のどこかに、日本の近未来の現実があることは間違いありません。
であれば「来年にも日本の財政が破綻する」という極端な説と同様に、「わが国財政の破綻はあり得ない」という説に対しても、私たちは少し疑ってかかる必要があるのではないでしょうか。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2019年1月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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