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あらゆる嘘がバレた中国、これから先も「中華復興」が失敗に終わる当然の理由=黄文雄

チャイナドリームは白昼夢か

習近平は総書記・国家主席の就任直後、「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」をさかんに連呼していました。もちろん「中華復興」は決して習近平だけの夢ではありません。1990年代初頭、当時の江沢民主席は早くから「世界革命、人類解放、国家死滅」のスローガンを「愛国主義、民族主義、中華振興」の3点セットに置き換えて、新しいチャイナドリームとしていました。

中国史上、「中華復活」をめざす王朝は2つありました。宋と明です。しかし、「中華復活」はほとんどが悲劇で終わってしまうというのが定説です。は皇帝の独裁体制を確立した王朝です。科挙による官吏登用を導入し、皇帝が官僚を試験で採用することにより、皇帝だけが君臨し、他はみんな平民であるという「一君万民」体制になったわけです。

宋以前は貴族社会でした。とくに唐は貴族社会の代表的な王朝であり、中書、門下、尚書、三省は、今の三権分立に近いものでした。近代国民国家の元祖であるイギリスに近い考え方です。しかし宋は、科挙の全面施行により貴族と軍人が没落してからは、「独裁専制」政治を確立し、「中華復興」を目指したのです。しかし王朝内は王安石の新法に反対する旧法党との権力争いで混乱し、女真族の金に圧迫されて都を捨て南宋時代へと移ったが、やはり内部の権力闘争で王朝が荒廃し、やがて元に滅ぼされました。

明は「大明」と号していましたが、厳しい鎖国制度である陸禁・海禁を敷き、そのことで辺境貿易を妨げられた異民族の侵略(北虜南倭)を招き、また、明朝政府は民衆に対して重税を課し、皇帝側近として仕える宦官が政治を壟断、腐敗政治が蔓延したことから、実は中国史上最も暗黒の時代としても知られています。

明はあまりの苛政と腐敗により立ち上がった李自成を首魁とする農民蜂起軍によって滅ぼされました。こうして宋や明による「中華復活」は、悲劇として幕を閉じました。それが中国の宿命であり、歴史なのです。

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