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もはや手遅れ?日本が最先端の技術を生み出せる国ではなくなる理由=鈴木傾城

「ゲーム機本体」という概念がなくなる

グーグルは「5G」の圧倒的な通信速度とトラフィックを見越して、クラウドを利用した独自ゲームプラットフォーム「Stadia」を発表している。

5Gがまだ社会が行き渡っていないので当初は低解像度の問題のあるプラットフォームであるかもしれないが、通信環境が整えば、一気に普及していくポテンシャルを秘めている。

ゲームがクラウド化すると端末も場所も選ばなくなるわけで、ゲームはハードウェアによる依存から脱却する。

このクラウド利用のゲームプラットフォームというアイデアにはマイクロソフトも食指を示しているのだが、グーグルやマイクロソフトが始めるのであれば、アマゾンも圧倒的な投資で乗り込んでくるのは確実だ。アップルもまたアイフォーンを軸にしてこのアイデアに独自の形で乗るだろう。

今でもクラウドは現代文明の最重要インフラなのだが、その重要度が今の比ではなくなっていくのが「5G」の時代なのである。

『中国製造2025』という支配戦略

2019年4月24日、マイクロソフトはアップルとアマゾンに続いて時価総額1兆ドル超えを果たした3番目のアメリカ企業となった。

強大な影響力を誇るアメリカの巨大ハイテク企業だが、世界のすべての国を掌握して向かうところ敵なしなのかと言えば、そうではない。2019年4月18日、アマゾンは熾烈な競争に敗れて撤退を余儀なくされた国があることを報告した。

それは、中国だった。

中国ではアリババのようなアマゾンを模倣した企業が、中国政府の後押しもあって圧倒的な競争力と影響力を行使しており、独自路線を貫くアマゾンはそこで勝つことができなかった。

同じく、中国市場で次第に影響力を喪失しようとしているアメリカの企業がある。それがアップルだ。中国市場では、アップルのアイフォーンを徹底的に模倣したファーウェイシャオミ等の中国企業が価格面でも圧倒的な販売力を行使している。

さらにファーウェイは「ほとんど官民一体」と言われるほどの中国政府と密接に関わっており、それがアメリカと激しい軋轢を生み出しているのは周知の通りだ。

グーグルも中国に進出できていない。グーグルは中国共産党の意向に沿った検索エンジンを作って中国に進出するつもりだった。

しかし、その偏向した検索エンジン『ドラゴンフライ』の存在を従業員に暴露されて、「グーグルは中国政府におもねた偏向まみれの検索エンジンを作るな」と内外から大批判に見舞われて中国進出をあきらめた。

フェイスブック(Facebook)も中国に進出できていない。

中国は政府自身がクラウドも5Gも社会を変える凄まじいポテンシャルを秘めているのを知っている。

そのため、中国政府が率先してアメリカの巨大ハイテク企業の知的財産を徹底的に盗み、分析し、研究し、取り込んで、自国のハイテク企業と一体になって世界を支配しようとしている。

それを形にしたのが習近平の掲げた『中国製造2025』という支配戦略だった。

Next: 技術革新が生まれない日本に未来はあるのか?

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